Solana、トークン保有額のプライバシーを保護する「Confidential Balances」導入

Solana開発者が「Confidential Balances」拡張機能をローンチ

ソラナ(Solana)開発者が、トークン保有額のプライバシーを保護する「Confidential Balances(コンフィデンシャル・バランス)」拡張機能セットをエコシステムに4月8日正式に導入した。この機能は以前に実装されていた「Confidential Transfers(コンフィデンシャル・トランスファー)」を大幅に拡張したものだ。

「Confidential Balances」は複数の拡張機能を統合するアンブレラ概念として開発され、トークン取引における金額の秘匿化だけでなく、手数料の秘匿化、トークンの発行(ミント)と消却(バーン)時のプライバシー保護など、より包括的なプライバシー機能を提供する。

この技術は完全な匿名性ではなく「機密性(confidentiality)」に焦点を当てており、ゼロ知識証明(ZKP)および準同型暗号(homomorphic encryption)を活用している。これにより取引金額は非公開となる一方で、システムはその正確性を検証可能だ。

基本的なプロセスは、公開トークン残高を機密状態に変換する「デポジット」、機密残高を利用可能にする「アプライ」、暗号化された状態での「転送」、受信者側での「アプライ」、そして必要に応じて公開状態に戻す「ウィズドロー」の各ステップで構成されている。

「Confidential Balances」の概念は、2024年6月にSolanaの「Token2022」フレームワークとともに導入された「Confidential Transfers」機能を基礎としており、SPLトークンの機能を拡張するための包括的な機能強化の一環として開発されてきたものだ。

現時点では主にRust言語ベースのバックエンドシステムと「Wallet-as-a-Service」モデルでの実装が進んでおり、サーバー側ソリューションがユーザー指示の管理、ゼロ知識証明の生成、暗号化キーの処理などを担当している。

開発者たちは2025年後半にはJavaScriptベースのゼロ知識証明ライブラリが登場する見通しを示しており、これによりブラウザやモバイルウォレットでのネイティブ対応が可能になるという。これが実現すれば、ユーザーは特別なサーバーを必要とせず、ウェブまたはモバイルウォレット内で直接暗号化と証明の生成ができるようになる。

なおこの機能はSolanaインフラストラクチャ企業のへリウス(Helius)が主導して開発を進めており、「機関投資家のコンプライアンスを犠牲にすることなく、1秒未満の決済完了性を実現する初のZKを活用した暗号化トークン規格」と位置付けられている。

用途としては、暗号化された給与支払いサービス、企業間取引、およびその他のプライバシー保護アプリケーションなど、金融ユースケースに特に適しているとされる。また、任意の「監査キー(Auditor Key)」と組み合わせることで、機密トークンがコンプライアンスフレームワーク内でモニタリングできる仕組みも備えている。

参考:へリウスブログ
画像:iStocks/alphaspirit

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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