ユニスワップがSECのDeFi規制案撤回を提案、「シェブロン法理」無効化引用で

最高裁による判決引用で

大手DEX(分散型取引所)ユニスワップ(Uniswap)開発元のユニスワップラボ(Uniswap Labs)が、米最高裁による「シェブロン法理」無効化を引用し、米証券取引委員会(SEC)に対し、DeFi分野への規制提案を撤回するよう求めている。

ユニスワップラボは7月10日付けの書簡で「(シェブロン法理が覆された事例の)ローパー・ブライト裁判の判決により、改正案を正当化するためにSECが採用した取引所法の解釈が裁判所によって否定されることはほぼ確実となった」と述べている。

また、SECの改正案は、「取引所法第3条の条文と矛盾する方法で『取引所』という法定用語を解釈し、DeFiプロトコルに対するSECの管轄権を拡大しようとしている」と批判。「合衆国法典第15編第78c条の取引所法は、取引所を『証券の買い手と売り手を集めるための市場または施設』と定義しており、この条文が、通信サービスやまったく利害関係のない者を含むと解釈されたことは一度もない」と強調し、SECが、具体的な法的権限のない改正案に、こういったことを盛り込もうとしていると非難した。

SECは暗号資産取引所FTXの破綻以降、暗号資産業界を厳しく取り締まっている。これまでに大手暗号資産取引バイナンス(Binance)やクラーケン(Kraken)、コインベース(Coinbase)を提訴している。また、昨年4月には取引所の定義を拡大し、DEX等のDeFiプロトコルを管轄下に置くことを提案。今年4月にはユニスワップにも「ウェルズ通知(Wells Notice)」を送っており、強制措置の意向を示していた。なおユニスワップはこのSECからの意向に対し裁判で争う姿勢を見せている。

「シェブロン法理」について

米連邦最高裁判所は6月28日、1984年から続いてきた「シェブロン法理」を無効化する判断を下した。

「シェブロン法理」は「規制を巡る法律が曖昧な場合、裁判所は政府機関へ解釈を委ねるべき」というもの。

「シェブロン法理」は、選挙で選ばれたわけでもない連邦規制当局にあまりにも大きな権限を与え、より明確な法律を制定する責任を議会に問わないとして、しばし保守派の人々から批判されていた。

そのような理由で、規制の透明性が欠如した中、SECによる強制執行が行われている暗号資産業界にとっては、SECによる規制の乱用に歯止めをかけるものになりうるとの見方もある。

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image:iStocks/gonin

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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