【全文公開】ZコーポレーションとTaoTaoとの戦略的提携への交渉の狙いは「日本のビジネス文化の理解と適応」〜Binance CEO CZ氏へ取材

2020年1月17日にZコーポレーション株式会社、TaoTao株式会社、Binance Holdings Limitedが戦略的提携を結ぶための協議を開始したことを発表した。そして、あたらしい経済編集部は1月17日の夜、BinanceのCEOであるCZ(Changpeng Zhao)氏に取材を行うことができた。取材で聞いた内容は大きくわけて2つ。1.日本市場参入について、2.CZの人間性について。

TaoTaoとZコーポレーションは、日本市場進出の最高のパートナー

1月17日に Zコーポレーション、TAOTAOと戦略的パートナーシップ締結を進める話し合いを始めました。なぜ、この座組みで日本市場に参入することを選んだのですか?

CZ:それに答えるのはとても簡単です。なぜなら私たちにとって、TAOTAOは日本で共に働くのに最適なパートナーだと思うからです。非常に幸運なことに、私たちは彼らと仕事をする機会を得られました。さらに、彼らはYahoo Japanという日本で最も大きなトラフィックサイトを運営し、ソフトバンクのサポートも受けています。ですから、日本でのパートナーシップ相手という点では、Binanceにとって最良の選択だと思います。したがって、今回の提携は私たちにとって非常に簡単な決定でしたし、日本に参入できることは非常に幸運だと思います。

―ZコーポレーションやTaoTaoなどの日本企業とつながりを持ったきっかけは何ですか?

CZ:藤本真衣さんがTaoTaoやZコーポレーションを紹介をしてくれたからです。それが、両社との最初のきっかけになりました。その後、数回会いました。Binanceには、パートナーシップ締結の仕事に特化したチームがあります。ですから、私はその議論に関与していませんでした。

―Binanceにとって、このパートナーシップで最も価値があることは何でしょうか?

CZ:今回の提携で最も有用なことは日本のビジネス文化へのBinanceの適応だと考えています。最も重要なのは、日本の文化を理解し、適応することです。TaoTaoのように大企業のブランド名を持ち、その背後でヤフーとソフトバンクによるサポートが存在していることは、私たちにとって非常に重要です。

両社は私たちが日本でビジネスするときに適切なナビゲーションを行ってくれると思います。私は長い間、日本で働いていて、日本語を少しだけ話せますが、日本でビジネスができるレベルではないことは分かっています。私は日本人ではなく、文化的な違いがあるので、日本の規制当局などに対応することは、私にとって非常に理解することが難しいでしょう。

ですから、この場合、私たちはTAOTAOの私たちとの協力を非常に強く頼りにしています。そして、私たちは私たちの得意なテクノロジープラットフォームのウォレットやテクノロジーオペレーションなどを提供します。このような意味で、今回の取り決めは日本に最適だと思っています。

中国、アメリカ、インドなどのグローバルな国々と比較して、日本のビジネスにおける特異なビジネス文化は何だと思いますか?

CZ:日本全体で言えば、日本のビジネス文化には多くの利害関係者が存在しており、多くの規則を非常に厳密に守る必要があると思います。例えば、日本企業は議論に時間をかけます。そのため、協力方法については非常に詳細な議論があり、何年もかかる場合がありますが、一度同意すると、すぐに実行に移ります。実行の途中で、多くの問題が発生し、それを解決できる場合もありますし、解決できない場合もあります。

確かにアメリカは成熟したビジネス文化を持っていて、中国はクレイジーなビジネス文化を持っています。もちろん、両国にも一般的な文化も存在しています。しかし、全体として、ビジネス文化には根本的な違いがあると思います。そして、私たちはそれを非常によく認識する必要があります。私たちは人々を怒らせないように、文化の違いを意識する必要があります。そうしなければ、問題を解決するためにさまざまな人々と協力する最善の方法を見つけることはできません。だから今回のように、TaoTaoの助けを借りることは素晴らしいことだと思います。

CZの日本の規制に対する見解と戦略

日本のユーザーがBinanceを利用するときにいくつかの制限が設定されています。日本での将来的なビジネスについてどのような構想を持っていますか?

CZ:非常に明確です。日本では、TaoTaoとのパートナーシップがあるので、TaoTaoのビジネスのスコープに従います。ビジネスを行う以上、ルールに従わなければなりません。たとえどの国であっても、私たちはルールに従う必要があります。

―一部の日本人、日本のトレーダーは、規制が非常に厳しいと言っています。レバレッジ取引は、今年の規制変更に伴いの2倍までというものは合理的な規制だと思いますか?今後の戦略について、日本の金融庁と協力して、レバレッジなどを変えるために話し合っていますか?

CZ:私は金融庁の規制についてコメントすることはできません。実際、私たちは金融庁と直接話をしたことはなく、TaoTaoとZコーポレーションに依存しています。ですから、金融庁の規制について本当にコメントすることはできません。

しかし、全体として、日本の規制は二面性を持っていると思います。2017年に日本はビットコインを法定通貨として認めた最初の国の一つであり、それは非常に良いことだと思います。

同時に、私が個人的に思っていることは、世界の仮想通貨コミュニティは、日本の取引所で取引できるコインはほとんどないという見解を共有していると思います。もちろん、規制当局は非常に慎重であり、投資家を保護したいと考えています。これは日本が一般的に運営されている方法と非常に一致しており、理にかなっています。もちろん、私たちはより多くのコインが取引所での取引が許可されることを望んでいます。これは日本の取引所にとっても、日本のパートナーにとっても良いことだと思います。

マージンに関しては、日本の規制当局は私たちよりも日本市場をよく知っていると思います。ですから、もちろんより高い利益率を達成するために企業に与えられるより多くの自由を得たいと思っていますが、これには時間がかかると思います。

―非常に多くの日本人が、Binanceのような取引所で多くのコインを取引したいと考えています。私(竹田)の意見では、Binance JapanにBNB(Binance Token)はリストされると思いますが、いかがでしょうか?

CZ:私たちはそれを本当に望んでいますが、まだ保証がないので、多くの異なる規制当局が歩まなければならない購入データプロセスを適用しようとするでしょう。規制当局は承認を与えなければなりません。間違いなく挑戦はしますが、しかし、今のところ何も保証されていません。

取引所が重要視すべきは実行力

―取引所は今までのビジネスモデルを維持するのはますます難しくなっていると思います。今後どのようなジビジネスモデルを目指していきますか?

CZ:取引所がうまくいく可能性のあるビジネスモデルはたくさんあると思います。私の考えでは、重要なのはビジネスモデルではなく、それをどのように実行していくかだと思います。取引所のビジネスモデル自体は非常にシンプルです。取引プラットフォームを提供し、人々が来て取引し、人々から手数料を請求します。それは少額の手数料です。これは非常に単純なビジネスモデルです。

したがって取引所間の競争が非常に激しくなります。だから、運営者は非常に効率的で、かつ、自分の提供するサービスに長けていなければなりません。

最近では、競争がますます激しくなっているため、複数の収入源を持つ余裕のある運営者が勝つでしょう。例えば、手数料を請求する株取引があり、マージン取引もあり、先物取引もある場合、あなたは複数の収入源を得ることができ、手数料を非常に低く抑えることができます。すると他の取引所は、そこまで効率的なビジネスモデルを持っておらず、価格競争についていけないため、最終的に撤退します。

取引所のビジネスは、競争が本当に激しいので、実行するのが最も難しいビジネスの1つだと思います。ですから、基本的に、ビジネスモデルの問題ではなく、どれほど効率的に運営できるかが重要になると考えています。

CZにとって「Binanceはライフスタイル」

―続いて、CZのパーソナリティーについて聞いていきます。まず、CZのBinanceでの役割は何ですか?

CZ:私の役割は実に簡単です。私の主な役割は、優秀な人をBinanceチームに入れることです。そのため、ほとんどの場合、人々を引き込み、彼らがやりたいと思っていることを確認します。これは意味のあることです。また、私はチームに統率力を高めるきっかけを提供します。そのため、ほとんどのチームは私を尊敬しています。だからこそ、チームは一緒になります。また、私は少し戦略的な設定、私たちがやるべきこととやらざるべきことを設定します。非常に単純ですが、非常にレベルは高いです。それが基本的に私の仕事です。

―では、CZにとって「働く」ということはどういうことですか?

CZ:私は働いている自覚はありません。Binanceが本当に私がする唯一のことです。私は他に何もしません。確かに、運動をしたり、友人に会って夕食を食べたりしています。しかし、私が目を覚ますときも、私が眠りにつくときも、私はBinanceに取り組んでいます。Binance自体が私のライフスタイルなのです。ですから、私がやっていることは他に何もありません。それは仕事ではありません。そして、私はBinance以外のビジネスを持っていません。Binance以外の投資はありません。私は、24時間ずっとBinanceのことだけを考え、心配しています。

人にとって最も価値のあることは、実際に他の人を助けることができること

日常生活にどのような価値を感じて、生きていますか?

CZ:私は実際にこれについて非常に慎重に考えました。今日、私ができる最高のことは何でしょうか? 

私はお金に余裕があって、ビーチでリラックスして、マティーニを飲むことができます。私は一日中ゴルフをすることができます。しかし、それらすべてが非常に急速に退屈になるでしょう。ランボルギーニを運転してクラブに行っても、すぐに退屈してしまいます。

だから最終的に私は、人にとって最も価値のあることは、実際に他の人を助けることができることだ、とわかりました。

ですから、地球に生き残っている種については、その種の中の誰かがその種の他のメンバーを助けなければ、種は生き残れません。最初、私たちは確かに自分たちを第一に考えている生き物だと思います。私たちは経済的自由に到達したいなど、と考えています。しかし、そこに到達したら、最も価値のあることは他の人を助けることです。そして、私たちがそれを行うと、非常にやりがいを感じられるように遺伝子に刻まれており、私たちは他の人を助けることができると、非常に気持ちがいいです。

私がやっていることは、今日の何百万人もの人々が仮想通貨にアクセスするのを助けるということです。今日、私は人々が、より多くの人が自由にお金にアクセスできるようなるために、非常に有意義な仕事をしています。それはとても価値のあることだと思います。そして、このポジションにいることができてとても幸運だとも思います。

一方、他に何ができるかを考えると、非常に意味のある、大きな影響を与えることができます。実際、他のスタートアップで、私が私のために別の仕事をすれば、他に何もできません。私はすでに私ができる最も有意義なことをやっています。私はそうしてきたので、とても幸運でした。ですから、私は何か意味のあることに取り組んでいるのはとても幸運だと感じています。そして、それは本当にクールなものです。だから私は自分がやっていることにかなり満足しています。

―CZにとって日本はどのような国ですか?

CZ:個人的に私は日本が大好きです。日本は非常に先進国です。とてもきれいで、非常に組織化され、非常に文明的です。食事も美味しくて、とても快適な生活です。しかし、もっと重要なことは、日本はさらなる先進的なりうる可能性を秘めていることだと思います。同時に日本は、非常に保守的な文化を持っているようです。着物を着る文化なんかがそうですね。古い価値は保存されますが、同時に新しい価値は非常に迅速に受け入れられ、採用されます。

また日本は、私たちの哲学に沿った、開発を推進できる非常にユニークな国の一つであると思います。現時点では、規制によって取引できる仮装通貨の数について厳格ですが、しかし、全体的に見ると、日本は仮想通貨に関する最も先進的な規制を持っていると感じています。ビットコインは保護されており、ビットコインは通貨として認識されています。

ですから、日本はグローバルで仮想通貨業界のリーダーシップをより持つべきだと思います。食べ物に関しても、非常に高品質で素晴らしいです。様々な理由によって、私は日本でもっと時間を過ごし、日本人の友達と一緒に遊びたいと思っています。

より多くの人が仮想通貨へアクセスできる世界の実現へ

Binanceのミッション・ビジョンは何ですか?

CZ:Binanceのミッションは、お金の自由度をより高めることです。そのためのアクセスを有効にしていきたいのです。だからこそ、人々が仮想通貨にアクセスできる交換を実行するためにBinanceを提供しています。そして、私たちのビジョンは基本的により多くの人が仮想通貨へのアクセスを可能にすることです。そのためにすべてのツールを構築して、人々が仮想通貨にアクセスし、仮想通貨を使用するのに役立つツールを構築します。

私たちは、かなり良いアルトコイン交換所を運営していると思います、人々はそれを利用しますが、今日使われているお金の99.9%はまだフィアット(法定通貨)です。したがって、従来の金融機関と協力する必要があります。もっと規制当局と協力して、フィアットから仮想通貨へのアクセスを可能にする必要があります。

日本は間違いなくこれらの本当に重要な国の1つです。だからこそ、私たちは、銀行、伝統的な金融機関、規制当局と適切に連携する方法を見つけるために、TaoTaoと協力しています。 フィアットを使用して仮想通貨にアクセスできるようにするためです。それがBinanceのビジョンです。

―フィアットと比較した時、仮想通貨の優れている要素は何ですか?

CZ:さまざまな理由がありますが、確実に仮想通貨はフィアットよりも優れています。第一に、たとえば、ビットコインが中央集権化されたエンティティによって発行されておらず、発行上限がある場合、量的緩和はないため、お金を印刷することはできません。そして、あなたが保持しているのは、限られたリソースです。

第二に、持ち運びや移動がフィアットに比べて、簡単です。したがって、ビットコインを日本から米国、そして中国、タイに移動したい場合は、簡単にそれを行うことができます。国をまたぐことへの制限は少なく、今日は何の障壁もありません。どの国にいるかに応じて、ほとんどの国では、ICOプロジェクトに投資したい場合、仮想通貨を使用してプロジェクトに投資できます。それは、日本からでも米国のプロジェクトまたはカナダのプロジェクトに投資できます。

したがって、従来のフィアットが提供できない機能を仮想通貨が提供することができ、多くの異なるタイプの自由が生まれます。この種の自由は経済全体の成長にとっても良いことであり、人々のバランスにとっても良いことだと思います。たとえば、東京からフィリピンにお金を送りたいと考えているとしましょう。

現在、お金はデジタルに送金することはできますが、送金にはお金がかかります。実際に送金するときにかかる費用は、コンピューター内のほんの数字を変えるためだけのものなので、ほとんどかからないはずです。それにもかかわらず、送金を実行すると20~30%のお金が取られてしまいます。

仮想通貨は、この問題を修正します。仮想通貨には、この問題の多くを修正する可能性があります。これが、私がそれを次の大きな革命としての次のものと考える理由です。お金の次の非常に大きな革命。私はそれが世界中の誰にとっても良い影響をもたらすと考えています。

(おわり)

テキスト編集/翻訳:竹田匡宏/小俣淳平

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学卒業。
幻冬舎で「あたらしい経済」の編集者・記者。
また個人活動としては「死ぬまで毎日ブログを書く」という約束をもとにブログ「たっけのメモ」を4年間運営。ラジオ番組「ミレニアル世代のアタマの中」のパーソナリティー。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学卒業。
幻冬舎で「あたらしい経済」の編集者・記者。
また個人活動としては「死ぬまで毎日ブログを書く」という約束をもとにブログ「たっけのメモ」を4年間運営。ラジオ番組「ミレニアル世代のアタマの中」のパーソナリティー。

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