米・英当局、制裁対象の露Garantex経由送金の200億ドルのUSDTを調査中=報道

約3兆円が送金されたか

米国と英国の当局が、露モスクワ拠点の暗号資産(仮想通貨)取引所ガランテックス(Garantex)経由で送金された200億ドル(約3兆円)相当の取引について調査を進めているようだ。情報筋の話としてブルームバーグが3月28日報じた。

報道によれば、同取引はテザー(Tether)社発行の米ドルステーブルコイン「USDT」で行われたという。

両国当局は2022年4月、マネーロンダリング、テロ資金調達、ランサムウエア攻撃を可能にした疑いでガランテックスに制裁を行っている。

なおガランテックスが受け取った資金は、2022年の暗号資産不正取引量の大半を占めており、活動の大部分は「ロシアの取引所を利用するロシアのユーザーと思われる」と米ブロックチェーン分析企業チェイナリシス(Chainalysis)は報告していた。

情報筋によれば、今回の200億ドル相当の暗号資産取引は、対ロシア制裁における最大級の違反になるとのことだ。

両国はこの捜査を通じ、ロシアのウクライナ戦争を支援する不正な取り組みを抑制したい構えだ。

しかし情報筋は、調査は進行中であり、暗号資産取引の複雑さと不透明さを考えると、結論を予想するのは時期尚早であると指摘。また、テザー社の不正行為については当面指摘されるものではないだろうとの考えを示している。

USDTは過去にも犯罪や戦争・テロ活動に使用されるケースが多々あり、テザー社はそれらの行為に関わった資産やウォレットについて、自主凍結や法執行機関と協力するなどの策を講じてきた。

昨年10月にはイスラエルとウクライナでの「テロと戦争」に関連しているとして、32の暗号資産ウォレットのアドレスを凍結したと発表。

また同年11月には東南アジアの人身売買シンジケートに関連するセルフカストディアルウォレットに保管されていた約2億2500万ドル(約332.3億円)相当のUSDTを凍結した。

さらに同年12月には、米国財務省外国資産管理局(OFAC)の特別指定国民(SDN)リストに加えられてる複数の個人ウォレットを自主的に凍結したことを発表している。

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参考:ブルームバーグ
images:Reuters

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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