グレイスケールが現物ビットコインETF訴訟に勝利、米控訴裁の判決が確定

SECはビットコインETFの申請を再審査すべき

ワシントンのコロンビア特別区控訴裁判所が、「暗号資産(仮想通貨)運用会社グレイスケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)による現物(スポット)ビットコイン(BTC)上場投資信託(ETF)の申請は再審査されるべき」という判決を正式に確定させた。10月23日に提出された判決文により明らかとなった。

この動きは、ワシントンのコロンビア特別区控訴裁判所によって8月に下された、米証券取引委員会(SEC)がグレイスケールの現物ビットコインETFの申請を却下したのは誤りであるという判決を正式な命令として発出されたものだ。控訴裁はSECに対し、現物ビットコインETFへの承認拒否を取り消すよう裁判命令を下している。

SECはこの判決に対し、控訴していない。

今回提出された判決文には「2023年8月29日の判決に従い、連邦控訴手続規則第41条に従い、これを当裁判所の正式な命令とする」と記されている。

グレイスケールの勝利が影響してか、ビットコインの価格は1日で約13%上昇。記事執筆時点(2023年10月24日11:00)で約514万円の値を付けている。(コインマーケットキャップ調べ)

SECが控訴しないことを受け、グレイスケールは10月19日、SECへ現物ビットコインETF「グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)」の新たな申請を行っている。

SECのゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は10月18日のブルームバークTVのインタビューにて、SECが審査している複数のビットコインETFの審査状況について「スタッフは複数のETF提出書類について作業を続けている」と明かしていた。

関連ニュース

参考:判決文
デザイン:一本寿和

images:iStock/Kwun-Kau-Tam

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

米DTCC子会社DTC、SECからノーアクションレター取得。規制下のトークン化サービス検証へ

米国の金融市場インフラを担うデポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング・コーポレーション(Depository Trust & Clearing Corporation:DTCC)が、子会社であるデポジトリー・トラスト・カンパニー(Depository Trust Company:DTC)について、米証券取引委員会(SEC)の取引市場部門スタッフからノーアクションレターを取得したと12月11日に発表した

スーパーステートがトークン化株式の直接発行プログラム公開、ソラナとイーサリアムに対応

金融テクノロジー企業のスーパーステート(Superstate)は、イーサリアム(Ethereum)とソラナ(Solana)のブロックチェーン上でトークン化された株式を、米SEC(証券取引委員会)登録の公開企業(上場企業を含む)が直接発行できる新プログラム「ダイレクト・イシュアンス・プログラム(Direct Issuance Programs)」を12月10日に発表した