三菱UFJ信託とNTTデータがデジタル社債向け標準化インフラ構築へ、Progmatと伝統的社債シェア95%システム連携で

三菱UFJ信託とNTTデータがデジタル社債向け標準化インフラ構築へ

三菱UFJ信託銀行とNTTデータの両社が提携し、「デジタル社債向け標準化インフラ」構築に合意したと8月10日に発表した。

三菱UFJ信託銀行開発のデジタルアセット全般の発行・管理基盤「Progmat(プログマ)」と国内で圧倒的なシェアを誇るNTTデータグループの社債管理基盤「B-Apps Online」のデジタル社債管理向け機能「DBM(仮)」を連携させ、「デジタル社債向け標準化インフラ」の構築を進めるとのことだ。

また両社は三菱UFJ銀行と協業のうえ、事業会社などに向けて、同インフラを用いたデジタル社債の発行支援を開始するとしている。

なお発表によると「デジタル社債向け標準化インフラ」は、「業界横断的な標準とすべき最適な商品モデル・業務プロセスを前提とした、デジタル社債の発行・管理を可能とする一連の基盤群」と定義されている。

三菱UFJ信託銀行によると日本国内では、累計956億円規模の公募デジタル証券(セキュリティートークン:ST)が組成されており、そのうち「Progmat」を活用したものは全13件、運用資産残高(AuM)は約807億円でそのシェアは84%となる見込みだという。ただしその殆どは、不動産などを対象とした資産裏付型デジタル証券で、デジタル社債の発行はいまだ試験的な段階であるとのこと。

デジタル社債がより本格的に拡大するうえでは、小口化、効率化、コスト削減、環境負荷軽減などの固有の付加価値の提供や圧倒的な利便性の向上に加え、導入・移行に要する負荷を極力小さくすることで、市場参加者や取扱金融機関の裾野を広げることが必要だと述べられている。

そこでデジタル社債の普及に向け、伝統的な社債(振替債)における受託金融機関向けシステムとしてシェア95%を誇るNTTデータグループと「Progmat」および振替債において多くの受託実績を有する三菱UFJ信託銀行が連携することで、市場参加者である金融機関や事業会社のデジタル社債市場参入を容易にし、それによりデジタル社債市場の活性化が図れると同行は説明している。

今後については、「Progmat」と連携可能なデジタル社債管理用基盤「DBM(仮)」の商用版を実装し、NTTデータグループの振替債向けシステムを導入している受託金融機関20行(間接利用先を含めると180行)のうち利用希望先への提供態勢を構築するとのこと。

NTTデータグループはデジタル社債市場の発展に寄与するため今後さらに連携先の拡大を検討し、三菱UFJ銀行は同基盤を先行利用し、三菱UFJ銀行を受託金融機関とするデジタル社債について、2023年度内の発行を目指すとのことだ。

また「Progmat」は2023年9月以降に、開発元の三菱UFJ信託銀行から独立会社「株式会社Progmat(仮)」に移管予定である。同社は「Progmat」の開発・提供と「デジタルアセット共創コンソーシアム」の運営を担う合弁会社となる予定。同社は、三菱UFJ信託銀行、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、三井住友フィナンシャルグループ、SBI PTSホールディングス、JPX総研、NTTデータの7社にて設立される予定だ。

なお「Progmat」は、セキュリティートークン(ST)用のインフラ「Progmat ST」とユーティリティトークン(UT)用のインフラ「Progmat UT」、そしてステーブルコイン(SC)用のインフラ「Progmat Coin」の3つで構成されている。

Progmat ST」においてはエンタープライズ向けブロックチェーン「Corda(コルダ)」が、「Progmat UT」では同じくエンタープライズ向けブロックチェーン「Quorum(クオーラム)」が採用されている。また「Progmat Coin」ではEthereum(イーサリアム)やPolygon(ポリゴン)等、複数のパブリックブロックチェーンを利用するマルチチェーン対応のプラットフォームとなっている。

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参考:三菱UFJ信託
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Sergey-Khakimullin

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大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

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