【取材】Symbolでジェネラティブ/フルオンチェーンNFT制作ツール、NFTDrive「隼 HAYABUSA」発表(中島理男)

ジェネラティブNFT制作ツール「隼 HAYABUSA」発表

Symbol(XYM)ブロックチェーン関連の開発企業NFTDriveが、誰でも簡単にジェネラティブNFTを生成することができるサービス「隼 HAYABUSA」を今月発表した。同社はフルオンチェーンNFTアップロードツール「NFTDrive」を開発しており、NFTの永続性を追求したフルオンチェーンNFT生成技術に強みを持つ。

なおジェネラティブNFTとは、アルゴリズムや規則に基づいて自動的に生成されるNFT(Non-Fungible Token)を指す。クリエイターの作品を元データにし、いくつかのパーツとなるデータを組み合わせ、独自のアルゴリズムに従いランダムに異なる複数の作品を生み出す形で制作される。

一般的にジェネラティブNFT作成には、コーディングやプログラミングのスキルが必要となるが、今回発表された「隼 HAYABUSA」を利用すると、誰でも簡単にジェネラティブNFTの作成が可能となるとのこと。同社は「プログラミングが苦手なクリエイターは、より作品のクオリティに注力することができ、クリエイターにとって大きな助けとなるサービス」だと発表している。

フルオンチェーンNFTの可能性

「あたらしい経済」編集部は、「NFTDrive」サービスを軸に、前述のジェネラティブNFT生成ツール「隼 HAYABUSA」や、P2Pウォレット「NFTDriveEX」など、フルオンチェチェーンNFT関連サービスの開発に注力する株式会社NFTDrive代表の中島理男氏を取材した。

中島氏はここ1、2年のいわゆるNFTブームとなった一般的なNFTについて、潜在しているリスクを指摘している。「NFTと一言で表現されるが、それぞれのトークンに紐づくデータの保存先は様々であり、NFTを販売する事業者やNFTの保有者はその課題について理解しておくことが重要だ」と話す。

NFTに紐づいた画像などのデータがIPFS(InterPlanetary File System)上に保存されることが昨今主流だが、中島氏は「それらのNFTに紐づいたデータは消えるリスクがある。IPFSは通常のWebホスティングとは異なり、永続的な保存が保証されていない。これは、IPFSが分散型のP2Pネットワーク上で動作し、ファイルがネットワーク上の複数のノードに分散されるためだ」と話す。

「だからNFTDriveは、フルオンチェーンに拘っている」と中島氏。フルオンチェーンNFTは、単一ブロックチェーンを形成するノードのすべてのストレージ領域にデータを保存しているため、ブロックチェーンそのものが消滅しない限り、すべてのノードが同一のデータを保存しており、極めて高い冗長性が担保されていると言われている。

なお中島氏は「フルオンチェーンNFTの活用事例としては、アート作品だけでなく、公文書の保存や研究・学術結果、論文の保存など様々な分野に応用できるとされている。また、後世に残していくべき重要な資産を永続的に保存し続けることができるという点において、ブロックチェーンが暗号資産として使われる側面だけでなく、新しい利用用途としての可能性も見出している」とその可能性を語った。

Symbolブロックチェーンを選んだ理由

なおフルオンチェーンNFTは、イーサリアムなどのパブリックブロックチェーン上の一部のプロジェクトや、最近話題のビットコインNFTであるオーディナルズ(Ordinals)でも採用されてきている。

中島氏の「NFTDrive」がフルオンチェーンNFTの実装するプラットフォームに、Symbolのブロックチェーンを採用した理由にについて、以下3つの理由を挙げている。

1つ目は「アグリゲートトランザクションにより1度に扱えるトランザクション量が多いこと」だ。アグリゲートトランザクションと呼ばれる機能により、1つのトランザクションの中に100個のトランザクションを内包して処理することができ、大容量のデータを処理が可能だという。

2つ目は「スマートコントラクトを必要としない実装が可能」な点だ。Symbolブロックチェーンはブロックチェーンネイティブに豊富なAPI群が用意されており、プログラムのソースコードを複雑に記述する必要性なく利用ができるとのこと。これによって脆弱性を作りこむリスクを軽減できるとしている。

中島氏は「利用者の視点でも、脆弱性を作りむリスクの少ないブロックチェーンは、セキュリティ面での安心感があり、その点はSymbolとしての大きなアドバンテージであると考えている」と話す。

また最後に「日本国内にSymbol/NEMのコアなファンが多く、バグの抽出を目的としたテストへの参加に積極的であること」が挙げられている。中島氏は同コミュニティの積極性に自身も助けられていると語り「DAO(自立型分散組織)が上手く機能している一つの事例ではないか」と話す。

中島氏は「これらの要素が決め手となり、フルオンチェーンでデータを格納するブロックチェーンにはSymbolを採用した。なお現時点で『隼 HAYABUSA』が対応している主なチェーンはSymbolをストレージ、フルオンチェーンマスターデータとしてAstar Network、Polygon、Ethereumとなっている」と話した。

参考:NFTDrive公式サイト

【PODCASTで平日毎日ブロックチェーン/暗号資産ニュース配信中!】

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

ブロックチェーン、仮想通貨(暗号通貨)、トークンエコノミー、評価経済、シェアリングエコノミーなどの「あたらしい経済」をテーマにしたWEBメディアです。「あたらしい経済」モデルやそこでの稼ぎ方、そこで未来を切り開く人々のエピソード、あたらしい時代における働き方や学ぶべきことなどを、紹介します。これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

ブロックチェーン、仮想通貨(暗号通貨)、トークンエコノミー、評価経済、シェアリングエコノミーなどの「あたらしい経済」をテーマにしたWEBメディアです。「あたらしい経済」モデルやそこでの稼ぎ方、そこで未来を切り開く人々のエピソード、あたらしい時代における働き方や学ぶべきことなどを、紹介します。これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

「OASIS」がメタバース×NFTで創る、もう一つの私たちの居場所。コミュニティの取り組みや「OASIS COMMUNITY PASS NFT」を徹底取材

「OASIS」を担当するコインチェックの天羽健介氏、塚田竜也氏、そして「OASIS」コミュニティの運営に携わる中西大輝氏を取材。そもそも「OASIS」とはどんなプロジェクトか、そして現在のコミュニティ内での取り組み、NFT「OASIS COMMUNITY PASS NFT」についての詳細などについて訊いた。

【限定半額クーポン有】京都開催web3イベント「IVS Crypto 2023 KYOTO」がコンテンツ発表、あたらしい経済もメディアパートナーに

暗号資産(仮想通貨)/ブロックチェーンなどweb3領域に特化した大規模カンファレンス「IVS Crypto 2023 KYOTO」が、6月28日(水)~6月30日(金)の3日間、京都市勧業館「みやこめっせ」「ロームシアター京都」で開催される。

招待制web3イベント「B Dash Crypto」が札幌で5月24-26日開催! ピッチコンテスト応募者やスタートアップ参加者 募集中

ネット業界の第一線の経営者やキーパーソンが集結する日本最大級の招待制カンファレンス「B Dash Camp 2023 SPRING in SAPPRO」が5月24-26日に札幌で開催される。そしてそのイベント内同会場でブロックチェーン・暗号資産などweb3領域に特化したカンファレンス「B Dash Crypto」も同時開催される。

企画書だけで助成金が貰える? UNCHAIN「web3開発助成金プログラム:進捗2Earn」とは(shiftbase 志村侑紀/日原翔)

「UNCHAIN」で新たなプロジェクト「web3開発助成金プログラム:進捗2Earn」がスタートする。あたらしい経済編集部はshiftbase 取締役CCOの志村侑紀氏と取締役CTOの日原翔氏、そしてすでに助成金プログラムにプレ参加している起業家のkimi氏、エンジニアのkeit氏に取材した。

web3の未来は? 暗号資産/ブロックチェーン業界を牽引する80人の「2023年の展望」

「あたらしい経済」年始の特別企画として、ブロックチェーン・暗号資産業界を国内外で牽引するプレイヤーや有識者の方々に「2023年の展望」を寄稿いただきました。80人の方々の合計40,000字を超えるメッセージには、これからのweb3領域のビジネスのヒントやインサイトに溢れています。じっくりと読んで、これから「あたらしい経済」を切り開くための参考にしていただけますと幸いです。