米SECのゲンスラー委員長、米下院より厳しい追及、解任要求提出へ

ゲンスラー委員長の解任要求案提出か

米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長が、米下院からの厳しい追及にあっている。米下院議員のウォーレン・デイビッドソン(Warren Davidson)議員は、ゲンスラー氏の解任を求める法案を提出すると4月15日発表した。

ディビッドソン議員は自身のツイッターアカウントから、コインベースの最高法務責任者のポール・グレワル(Paul Grewal)氏のツイートにリプライ。先日SECが「取引所」の定義を見直すと発表したことを受け「一連の長い乱用を正すため、私は証券取引委員会の委員長を解任し、その役割を(権限のある)取締役会に報告する事務局長に置き換える法案を提出する。SECの元委員長は不適格だ」とツイートした。

SECは同委員会の規則において、「取引所」の定義を再定義する提案を4月14日に発表。同提案は賛成3対反対2で議決した。

なお同提案での「取引所」は「構造化された方法を通じて証券の買い手・売り手を集めて取引を行う」システムだという。この定義に従えば、資産の売買のために買い手・売り手を繋ぐDeFiプロジェクトも対象となる可能性がある。

反対票を投じたのは、共和党のへスター・ピアース(Hester Peirce)委員とマーク・ウエダ(Mark Uyeda)委員の2名。ピアース委員は暗号資産擁護派で「クリプトマム」として知られている。

なお今後この提案は、SECを率いる民主党多数派の委員会投票にかけられるようだ。

米下院委員長もETHの証券判断について追及

また米下院金融サービス委員会議長のパトリック・マクヘンリ(Patrick McHenry)議長も、4月18日のSEC監督審査(公聴会)の場でゲンスラー委員長に対し、「米国法の下で、ETHはSECの管轄下にある証券か、証券先物取引委員会(CFTC)の管轄下にある商品(コモディティ)かについて明確な回答を求める」と厳しく追及した。

マクヘンリ議長は、答弁の中で明確な回答を避けるゲンスラー委員長の発言を何度も遮り、「現行法の下でETHは商品か証券を判断してほしい」と指摘している。

なおその質問に対し、ゲンスラー委員長は最後まで明確な回答を返さなかった。

また下院委員会のマキシン・ウォーターズ(Maxine Waters)議員は、SECの執行能力について質問を展開。ゲンスラー委員長によれば、SECは「暗号資産業界を規制遵守に導く手段・権限・意志」を持っているとのこと。

またゲンスラー委員長は暗号資産業界について、「(暗号資産業界は)法令遵守を欠いており、その多くは故意的に遵守を怠っている」と主張している。

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参考:公聴会
images:Reuters

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

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同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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