証券監督者国際機構(IOSCO)が、DeFiに関する報告書公表。主論点は投資家リスク

IOSCOが、DeFiに関する報告書公表。主論点は投資家リスク

証券監督者国際機構(International Organization of Securities Commissions:IOSCO)が、分散型金融(DeFi)に関する報告書を3月24日に発表した。報告書のタイトルは「IOSCOの分散型金融レポート(IOSCO DECENTRALIZED FINANCE REPORT)」。

ちなみにIOSCOはDeFi市場の現状、類型、および政策的影響の理解に焦点を当てるため「DeFiワーキンググループ」を設立している。

まずこのレポートでは分散型金融(DeFi)について次にように説明されている。

「DeFiは重要かつ進化・拡大している技術革新である。DeFiとは一般的に分散型台帳技術を利用した金融商品、サービス、仕組み、活動の提供を指し、従来の金融仲介機関や中央集権的な機関の必要性を排除し、レガシーなエコシステムを分散化させることを目的としている」

そしてDeFiは主に「1.決済層としてのブロックチェーン」、「2.決済層の上のスマートコントラクトの複数のシステム(および補助ソフトウェア)」、「3.金融商品・サービス(プロトコル)」の3層構造になっているとの見解が示されている。

このレポートでは、DeFiの革新性にも触れつつ、主な論点は投資家保護を中心としたリスクについてだ。

具体的にDeFiは、取引当事者間の従来の仲介者を排除し、取引の迅速化、低コスト化、効率化を可能にすると主張されているが、同時に、投資家保護や市場の健全性を確保する中心的な役割を果たすゲートキーパーとして従来から機能してきた市場参加者を排除するものである、と説明されている。

リスクとしては個人投資家などがDeFiの金融商品に関する誤った情報や不適切な広告を出して、投資家の判断を誤らせることや、DeFiプロダクトの情報開示不足が説明されている。

そしてブロックチェーンのデータやスマートコントラクトのコードは誰でも見ることができる透明なものであるという意見に対しては、データやコードを理解するには技術的な能力と知識が必要だとの見解をIOSCOは示している。

また取引のフロントランニングの問題である通称「MEV(Miners Extracted Value)」に関しても報告書では指摘されている。

なおIOSCOはこの報告書に関して、DeFiセクターのプレイヤーを含め、パブリックコメントの募集も行っている。

参考:IOSCO
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Olga_Z・RamCreativ

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竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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