コインハイブ事件、最高裁で逆転無罪に

コインハイブ事件、無罪に

暗号資産(仮想通貨)マイニングプログラム「Coinhive(コインハイブ)」に関する一連の事件について、不正指令電磁的記録保管の罪に問われたWEBデザイナーの被告が、最高裁の判決により無罪となったことが分かった。

「Coinhive」はWEBサイトに設置するプログラムで、サイトを閲覧した人のパソコン端末の処理能力を使用し暗号資産「モネロ」をマイニングする仕組みだ。判決文などによると、被告は17年10~11月、自身のウェブサイト上に閲覧者の許可を得ずにコインハイブを設置したとされている。

なお同プログラムは、17年9月~19年3月にかけてインターネット上で提供され、誰でも利用できたが、それまでに利用者21人が検挙されている。

神奈川県警は「Coinhive」が不正指令電磁的記録(コンピューターウイルス)の共用や保管の罪に当たるとし摘発。被告は18年3月に横浜簡裁から罰金10万円の略式命令を受けた。被告は無罪を主張して正式裁判に移行。その後19年3月に横浜地裁が無罪の判決を下していた。

検察側は無罪の判決を不服とし19年4月10日付けで東京高裁に控訴、東京高裁は「プログラムに対する社会一般の信頼を害し、悪質だ」として、一審の横浜地裁の無罪判決を破棄し、二審は20年2月7日に有罪判決を下していた。

その後昨年12月に最高裁第1小法廷が上告審の口頭弁論を開催。そして今回、最高裁は罰金10万円の有罪とした二審・東京高裁判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。

弁護側は上告審で「(他人のパソコンへの影響は)ごく軽微であり、情報へのアクセス、改ざんなどをもたらすものではない」と指摘。被告が摘発される以前は捜査機関の注意喚起もなく「社会的に許容されていないと断じることはできない」として、無罪を主張していたという。

またこれに対し検察側は「被告が置いたプログラムは他人のパソコンのCPUを50%まで使える設定となっており、影響は軽微とはいえない」などと反論していたとのことだ。

関連ニュース

コインハイブ事件、上告審の口頭弁論が12月に 

コインハイブ事件が控訴審にて逆転有罪に

参考:日経新聞
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Svetlana-Borovkova・PhonlamaiPhoto

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

【4/26話題】コンセンシスがETH規制でSECを提訴、米国政府マネーファンドがP2Pで転送可能になど

米コンセンシス、イーサリアム(ETH)規制めぐり米SECを提訴、フランクリン・テンプルトン、「米国政府マネーファンド」をP2Pで転送可能に、オーケーコインジャパンにオプティミズム(OP)上場へ、国内3例目、米決済ストライプ、「USDC支払い」今夏から導入へ、Fireblocks、機関向けのDeFiセキュリティ機能を拡張、アーサーヘイズ、ビットコインの強気相場続くと予想、コスモス「IBC」でトークン無限発行のバグ修正、アシメトリックリサーチ報告、ビットコインの改善提案「BIP420」公開、スマコン追加やゼロ知識証明など実装に向け、エルサルバドル、公式デジタルウォレット「Chivo」のソースコード流出、米SEC、テラフォームラボと創業者に約53億ドルの支払い命じる