メタ(旧フェイスブック)のデジタル通貨事業責任者デビッド・マーカス辞任へ

メタのデジタル通貨事業責任者デビッド・マーカス辞任へ

メタ(Meta/旧フェイスブック社)のデジタル通貨事業ノビ(Novi)の責任者デビッド・マーカス(David Marcus)氏が年末に退任する予定であることが11月30日に分かった。

マーカス氏は責任者として、2019年にデジタル通貨「リブラ(現ディエム)」の構想を発表した。ただその後、米国含め各国の金融当局との議論が長引き、事業化が難しい状態になっていた。

そして今年10月にノビはパイロット版がローンチされた。そのパイロット版で利用可能な通貨は米パクソス社が開発・運用する米ドルステーブルコイン「USDP」となっている。USDPを選定した理由は準備金が米ドルに完全に裏付けられていて、100%現金および現金同等物で保有されているからという。

今後「ノビ」が規制当局の承認を受けることができれば、「ディエム」の決済ネットワークに移行する予定にもなっていた。

マーカス氏は退任する理由に関して「ノビを立ち上げた後もやるべきことはたくさんありますし、決済や金融システムに変革をもたらす必要性については相変わらず情熱を注いでいますが、私の起業家としてのDNAを無視し続けることは難しかった」と説明している。マーカス氏は数ヶ月間、休暇を取り、プロダクトを開発し始めるとのことだ。

メタとノビが今後、事業としてどのように連携していくかは注目だ。メタのCEOであるマーク・ザッカーバーグとマーカス氏の間で、事業における妥協点が見つけられなかったのは、確かではないだろうか。

ちなみにマーカス氏の後任は、ステファン・カスリー(Stephane Kasrie)が担う。

参考:Twitter
デザイン:一本寿和
images:iStocks/pavelns

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

合わせて読みたい記事

米DTCC子会社DTC、SECからノーアクションレター取得。規制下のトークン化サービス検証へ

米国の金融市場インフラを担うデポジトリー・トラスト・アンド・クリアリング・コーポレーション(Depository Trust & Clearing Corporation:DTCC)が、子会社であるデポジトリー・トラスト・カンパニー(Depository Trust Company:DTC)について、米証券取引委員会(SEC)の取引市場部門スタッフからノーアクションレターを取得したと12月11日に発表した

スーパーステートがトークン化株式の直接発行プログラム公開、ソラナとイーサリアムに対応

金融テクノロジー企業のスーパーステート(Superstate)は、イーサリアム(Ethereum)とソラナ(Solana)のブロックチェーン上でトークン化された株式を、米SEC(証券取引委員会)登録の公開企業(上場企業を含む)が直接発行できる新プログラム「ダイレクト・イシュアンス・プログラム(Direct Issuance Programs)」を12月10日に発表した