Datachainがソラミツと連携、異なるブロックチェーン上でのデジタル通貨同時交換の実現目指す

Datachainがソラミツと技術連携開始

Datachain(データチェーン)がソラミツと技術連携を開始したことが11月5日分かった。両社は異なるブロックチェーン上のデジタル通貨の同時交換(アトミックスワップ)の実現を目指すとのこと。

ソラミツの提供するブロックチェーン基盤Hyperledger Iroha(ハイパーレジャーいろは)に、Datachainが開発をリードするHyperledger Lab YUI(ハイパーレジャーラボユイ)を用いることで、コスモス(Cosmos)のIBC(Inter-Blockchain Communication)によるインターオペラビリティを可能にし、Hyperledger Iroha上で構築された異なるブロックチェーン上のデジタル通貨を同時交換すると発表されている。

なおIBCとは、インターチェーン財団およびCosmosプロジェクトによって策定が進んでいる、ブロックチェーン同士の相互運用性を担保するための仕様標準のこと。Hyperledger Lab YUIではブロックチェーン基盤においてIBCによるインターオペラビリティ(相互運用性)を実現するために「IBC Module」などを開発している。

デジタル通貨の同時交換について、技術的にはEVM(イーサリアムバーチャルマシン)互換性を持つHyperledger Irohaに対し、データチェーンはIBC-Solidityを利用するという。そのうえでHyperledger IrohaにおけるICS-20(IBCにおけるトークン転送について定めている標準)のサポートや、Hyperledger Irohaのブロックチェーン間を繋ぐRelayer(リレイヤー)の設計実装を行うとのことだ。

なお「あたらしい経済」編集部がIBC-Solidityについてデータチェーン担当者へ確認をとったところ、IBC-Solidityは、IBCをSolidityで実装したものとのこと。元々のIBCはGolangで実装されているが、EVM系のブロックチェーン(Ethereum, Hyperledger Besu, Hyperledger Iroha等)と繋ぐためには、SolidityによるIBC実装が必要となるとのことだ。

Datachainでは、Hyperledger Lab YUIを用いたHyperledger IrohaのIBCによるインターオペラビリティ実現後、ソラミツと共にHyperledger Irohaにおける具体的なユースケースへの応用を目指すという。またHyperledger Fabric(ハイパーレジャーファブリック)やHyperledger Besu(ハイパーレジャーベイス)など、その他のブロックチェーン基盤との相互接続についても、ユースケースへのニーズに応じて、検討するとのことだ。

Hyperledger Irohaとは

Hyperledger Irohaは、カンボジア王国のCBDC(中央銀行デジタル通貨)「バコン」や、福島県会津大学のデジタル地域通貨「白虎」など、様々なデジタル通貨プロジェクトの基盤として国内外で活用されているブロックチェーン基盤だ。

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参考:データチェーン
デザイン:一本寿和
images:iStocks/Lidiia-Moor

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
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