米SEC、ビットコイン先物市場に関する意見公表

米SEC、ビットコイン先物市場に関する意見公表

米SEC投資部門のスタッフがビットコイン先物市場などに関する意見を公表した。

結論として、SEC投資部門のスタッフは「一部の投資信託がビットコイン先物に投資している、または投資しようとしていることを理解してます。そしてそれらのファンドは、投資会社法とその規則およびその他の連邦証券法の実質的な要件と一致して投資を行うことができると考えています」との意見を伝えている。

また米SEC投資部門のスタッフはビットコイン先物市場へのエクスポージャーを持つ投資信託への投資に関心のある投資家に対して、ファンドのリスク開示、投資家自身のリスク許容度、そしてすべての投資と同様に投資家が損失を被る可能性を慎重に検討することを強く推奨した。

そして米SEC投資部門のスタッフが公表した意見には、いくつか検討事項が含まれているので記載する。

SEC投資部門のスタッフは「とりわけ投資家は、ビットコイン先物市場を通じてエクスポージャーを得ることを含むビットコインは、高度に投機的な投資であることを理解する必要があります」と説明している。

SEC投資部門のスタッフは、米国1940年投資会社法(Investment Company Act)に基づいて登録されたファンドが、暗号資産や暗号資産関連投資を含むデジタル資産に投資する可能性がある場合に関係するリスクを分析する上で、重要な5つの質問分野を特定している。

その5つの分野とは「1.資産の評価、2.流動性、3.カストディ、4.ETFの裁定メカニズムに関する実質的な要件、5.暗号資産関連市場に関連する潜在的な操作やその他のリスク」である。

さらにSEC投資部門のスタッフは「SEC審査部のスタッフと連携して、投資会社法とその下の規則およびその他の連邦証券法に対する投資信託および投資顧問の継続的なコンプライアンスを綿密に監視および評価します。投資家保護とこれらのファンドの継続的なコンプライアンスの評価は、スタッフにとって最優先事項です」と説明している。

SECコミッショナーのヘスター・ピアース(Hester Peirce)氏は「この3年間、何度もこの件に関して話し合ってきました。 ゲンスラー議長のもとで、アメリカの投資家が暗号資産ベースの証券商品を利用できるようになることを期待しています」とツイートしている。

編集部のコメント

またこの意見には、SEC投資部門のスタッフが経済・リスク分析部門および審査部門のスタッフと連携して、投資家保護、資本形成、市場の公正性・効率性に対する投資信託のビットコイン先物への投資の影響を注意深くモニタリングしていくことも説明されている。そのモニタリングの主な対象として、次の6つが記載されている。

1.ビットコイン先物市場の流動性と深さ(例:参加者数)を分析し、投資信託の流動性に関する規制要件を考慮して、ビットコイン先物への投資(特に投資信託の資産が追加で市場に参入する場合)を適切にサポートしているかどうかを検討する。

2.日々の償還需要を満たすために必要なビットコイン先物のポジションを清算する投資信託の能力を分析するとともに、投資信託のデリバティブ・リスク管理の有効性と、デリバティブを通じて得られたレバレッジの程度を分析すること。

3.ビットコイン先物市場におけるファンドの保有資産の評価を監視し、ビットコイン先物市場への投資信託の参加が同市場の評価に与える影響や、基礎となるビットコイン市場の混乱が評価に与える影響を検討する。

4.ファンドがオープンエンドファンド流動性ルールを遵守する一環として、ビットコイン先物市場のあらゆるポジションに対する投資信託の流動性分類とその根拠を検討するとともに、通常時と合理的に予見可能なストレス状態の両方におけるファンドの戦略とポートフォリオ投資の流動性、投資戦略がオープンエンドファンドに適しているかどうか、戦略が比較的集中したポートフォリオや特定の投資の大規模なポジションをどの程度含んでいるかの検討を含む、ファンドの流動性リスク管理プログラムの全体的な構築を検討する。

5.基礎となるビットコイン市場における詐欺や操作の可能性の継続的な影響と、そのビットコイン先物市場への影響の可能性を評価する。

6.ビットコイン先物市場に投資するミューチュアル・ファンドの経験に照らして、ビットコイン先物市場が、投資信託とは異なり、ETFが市場で大きくなりすぎたり支配的になったり、市場の流動性が衰え始めた場合に、追加の投資家資産がETFに入ってくるのを防ぐことができないETFに対応できるかどうかを検討する。

参考:SEC

(images:iStocks/gstraub・LongQuattro)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

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