クラーケン親会社ペイワード、IPOを2027年Q2に延期か=報道

ペイワード、IPOを2027年第2四半期に延期か

暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケン(Kraken)を運営するペイワード(Payward)が、新規株式公開(IPO)の実施時期が、早くても2027年第2四半期になる見通しだと、暗号資産メディア「コインデスク(CoinDesk)」が9月2日に報じた。

報道によると、ペイワードは2027年第2四半期より前に上場する予定はないとのこと。コインデスクは事情に詳しい2人の関係者から情報を得たとしており、クラーケンの広報担当者はコメントを控えたとのことだ。

ペイワードは2025年11月18日、2つのトランシェで総額8億ドル(約1,269億円)を調達している。このうちマーケットメイカー大手シタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)による2億ドル(約317億円)の戦略投資では、ペイワードの企業評価額は200億ドル(約3.2兆円)とされた。

その翌日、ペイワードは普通株式のIPOに向けたS-1登録届出書の草案を米証券取引委員会(SEC)へ非公開で提出していた。S-1は、米国でIPOを行う企業が事業内容や財務情報、リスク要因などを開示するためSECへ提出する登録届出書だ。企業は一定の条件下で草案を非公開で提出し、上場に向けてSECの審査を受けることができる。

しかしコインデスクは今年3月、厳しい市場環境を受け、ペイワードがIPO計画を一時停止したと報じていた。当時、関係者は同社が引き続き上場に関心を持っているものの、市場環境が改善するまではIPOを実施しない可能性が高いとしていた。

ペイワードがIPO計画を一時停止した背景には、暗号資産関連企業のIPO市場の冷え込みがある。2025年にはステーブルコイン発行企業サークル(Circle)や暗号資産取引所ブリッシュ(Bullish)などが上場し、今年も暗号資産関連企業によるIPOが相次ぐとの期待があった。

一方、その後は暗号資産価格や取引量が低迷。さらに一部のデジタル資産関連企業の株価が上場後に低迷したことで、投資家需要が弱まったとコインデスクは報じている。こうした市場環境を受け、暗号資産運用会社グレイスケール(Grayscale)、イーサリアム(Ethereum)関連ソフトウェア開発企業コンセンシス(Consensys)、ハードウェアウォレットメーカーのレジャー(Ledger)なども上場計画を延期している。

IPO延期中も事業領域を拡大

ペイワードは今年3月にIPO計画を一時停止した後も、事業領域の拡大を続けている。3月には米証券取引所運営企業ナスダック(Nasdaq)と提携し、トークン化株式を規制市場とブロックチェーンネットワークの間で移転できる仕組みの設計を開始した。

ペイワードは2025年6月から、既存の株式やETFを原資産として1対1で裏付けるトークン化株式の枠組み「xストックス(xStocks)」を提供している。今年7月にはフィンテック企業GTNと提携し、香港を皮切りに英国、欧州、韓国などの株式へ対象を拡大する計画を発表した。さらに9月1日にはロンドン証券取引所(London Stock Exchange:LSE)と提携し、LSE上場大手100社の株式をxストックスとしてトークン化する計画も明らかにした。

デリバティブ分野では、今年5月にデジタル資産デリバティブ企業ビットノミアル(Bitnomial)の買収を完了した。これによりペイワードは、米商品先物取引委員会(CFTC)の規制下でデリバティブを提供するための取引所や清算機関などの基盤を傘下に収めた。クラーケンは6月、この基盤を活用し、対象となる米国ユーザー向けに規制下のパーペチュアル(無期限先物)の提供を開始している。

また7月には、ステーブルコイン決済・カード発行プラットフォームのリープ(Reap)を買収した。その後、マジック・ラボ(Magic Labs)のウォレットインフラ事業を買収する契約にも合意している。

コインデスクは、こうした動きについて、クラーケンを暗号資産取引所から、取引や決済などの金融商品・サービスを扱う、より包括的な金融サービスプラットフォームへ転換する戦略の一環と説明している。

参考:コインデスク
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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