暗号資産市況悪化で慎重姿勢
暗号資産取引所クラーケン(Kraken)が、新規株式公開(IPO)計画を一時停止したと、「コインデスク(CoinDesk)」が関係者の話として3月19日に報じた。
報道によると、同社は昨年11月に米証券取引委員会(SEC)へ非公開でS-1登録届出書の草案を提出していたが、市場環境の悪化を受け、上場時期を見直しているという。市場環境が改善すれば、IPOを再検討する可能性があるとされる。
背景には、暗号資産(仮想通貨)市場の低迷がある。ビットコインが2025年10月に過去最高値を記録した後、市場は下落基調となり、資産価格の低下や取引量の減少が企業価値や投資家心理に影響を与えている。これにより、企業の資金調達や上場に対する慎重姿勢が強まっているとみられる。
クラーケンの親会社ペイワード(Payward)は2025年11月19日、普通株のIPOに関連し、SECへS-1登録届出書の草案を非公開で提出していた。同社はその前日、約200億ドル(約3.19兆円)の評価額で8億ドル(約1,277億円)を調達したと発表しており、シタデル・セキュリティーズ(Citadel Securities)からの出資などを通じて、伝統金融市場をブロックチェーン基盤へ取り込む戦略を進めていた。
一方で、2025年は暗号資産関連企業のIPOが活発化し、サークル(Circle)やブルリッシュ(Bullish)、ジェミニ(Gemini)などが上場し、合計146億ドル(約2.33兆円)を調達したとされる。2024年の約3億1,000万ドル(約495億円)から大きく増加した。
なお関係者によると、クラーケンは今年初め、最高財務責任者(CFO)のステファニー・レマーマン(Stephanie Lemmerman)氏を解任したとのことだ。
一方で、2026年の暗号資産IPO市場はすでに動き始めている。暗号資産カストディ企業ビットゴー(BitGo)は1月、ニューヨーク証券取引所(NYSE)への上場初日に公募価格を約24%上回る水準で取引を開始し、時価総額は25.9億ドル(約4,106億円)に達した。
同社は想定レンジを上回る価格で約2億ドルを調達しており、市場では一定の投資家需要が確認された形だ。一方で、その後の株価は下落しており、市場環境の不安定さも浮き彫りとなっている。
参考:報道
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