イーサリアム財団、セキュリティ研究者のパスカル・カヴェルサッチョを理事に任命

キュリティ・プライバシー専門家が加わり、理事会は4名体制に

イーサリアム財団(Ethereum Foundation:EF)が、セキュリティ研究者のpcaversaccio(通称pc、パスカル・カヴェルサッチョ〈Pascal Caversaccio〉)氏を新たな理事会メンバーに迎えたと7月29日に発表した。これによりEF理事会は4名体制となる。

カヴェルサッチョ氏は、イーサリアムのエコシステムで長年活動してきたセキュリティ研究者であり、暗号資産関連のセキュリティインシデントに対応する緊急ホットライン「SEAL 911」の共同創設者で、リーダーを務める。また、検閲耐性やオープンソース、プライバシー、セキュリティといったEFの中核的価値観について非公式に助言を行う「Silviculture Society」のメンバーでもある。

暗号資産メディア「ザ・ブロック(The Block)」は、同氏について、技術的なセキュリティ分野での専門性に加え、サイファーパンク文化やプライバシー、分権化をめぐる思想的な発信でも知られる人物だと紹介している。

著作には、エリック・ヒューズ(Eric Hughes)氏による「A Cypherpunk’s Manifesto」をイーサリアム向けに翻案した2024年の論考「The Ethereum Cypherpunk Manifesto」や、2025年発表の「Ethereum Privacy: The Road to Self-Sovereignty」などがある。

またザ・ブロックは、暗号資産評論家のポール・ディラン=エニス(Paul Dylan-Ennis)氏がXへの投稿で、カヴェルサッチョ氏のマニフェストは2024年の時点でプライバシー、セキュリティ、検閲耐性を原則に掲げており、これらの価値観がその後イーサリアム文化の語彙に入り、EFの「Mandate」で準公式化されたとの見方を示したと報じている。

今回の任命により、EF理事会はプレジデントである宮口あや(Aya Miyaguchi)氏、共同創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏、スイス法務顧問のパトリック・ストルヒェネッガー(Patrick Storchenegger)氏、そしてカヴェルサッチョ氏の4名で構成される。

宮口氏はXへの投稿で、カヴェルサッチョ氏について、セキュリティとプライバシー分野での専門性だけでなく、財団が掲げる価値観「CROPS(Censorship Resistance、Open Source、Privacy、Security)」を体現する人物であるとして歓迎の意を示した。

EFが今年公開した「Mandate」によると、理事会はEFのビジョンを定めるとともに、経営陣による高次の戦略や意思決定が財団の価値観と整合しているかを監督する役割を担う。また、EFの理念を守る「Security Council」としての機能に加え、スイス財団としてのコンプライアンス確保も担当する。カヴェルサッチョ氏の任期は当初1年間で、ボランティアとしての就任となる。

今回の人事は、EFのガバナンスをめぐる一連の変化の中で行われた。

EFは6月、54人にあたる全体の約20%の人員を削減するとともに、プロトコル層、アクセス層、ユーザー層、コミュニティ層、機関層の5つの業務クラスターを中心とする体制へ再編した。これらとは別に、オペレーションを担うクラスターと、経営およびその支援を担うクラスターも設けられている。

再編発表までに、共同エグゼクティブディレクターを務めた2人や、プロトコル部門の共同リーダーらが相次いで離脱していた。EFは当時、検閲耐性、オープンソース、プライバシー、セキュリティといった中核的価値観への注力を強める方針を示していた。

EFによる役割の見直しと並行し、従来EFが担ってきた、または担うことを期待されてきた機能の一部を担う独立組織も相次いで発足したと、ザ・ブロックは報じている。

EF出身の上級研究者5名が共同設立した独立系非営利研究開発組織「イーサラボ(Ethlabs)」、銀行や資産運用会社などの機関向け窓口を担う非営利団体「イーサリアム・インスティテューショナル(Ethereum Institutional)」、応用プライバシー技術や暗号技術ツールの開発を手がける営利企業「イーサシステムズ(EthSystems)」などが、この約1カ月で発足している。

ザ・ブロックによると、これら3団体はいずれも、ETH財務企業大手のBitMineおよびSharpLink、さらにコンセンシス(Consensys)創業者でイーサリアム共同創設者のジョセフ・ルービン(Joseph Lubin)氏らから支援を受けている。

参考:発表報道
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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