金融機関向けプライバシー技術を事業化
銀行や資産運用会社などの金融機関向けに、イーサリアム(Ethereum)を活用したプライバシー技術やシステムの開発・提供を行う営利企業「イーサシステムズ(EthSystems)」が、7月14日に正式始動を発表した。
同社は、イーサリアム財団(Ethereum Foundation)が金融機関向けのプライバシー技術を研究するため設置していた「機関向けプライバシー・タスクフォース(Institutional Privacy Task Force:IPTF)」を運営してきたチームが独立する形で設立されたとのことだ。
イーサシステムズは、金融機関の間でステーブルコインやトークン化資産、決済・清算などへのイーサリアム活用が進みつつあると説明している。一方、パブリックブロックチェーンでは取引情報が公開されるため、金融機関が顧客情報や取引条件などの機密情報を扱うには、そのままでは利用しにくいという課題がある。
イーサシステムズは、こうした課題に対応するため、取引情報の閲覧範囲を制御し、必要に応じて選択的に情報を開示できるプライバシー技術を開発する。イーサリアムの分散性やセキュリティを維持しながら、金融機関が実際の金融サービスで利用できるプライバシー基盤となるアーキテクチャやプロトコル、システムの構築を進めるとのことだ。
同社によると、イーサリアム財団のIPTFでは約1年間にわたりオープンソース開発を進めてきたという。中央銀行や規制当局、大手銀行、資産運用会社などと対話を重ねながら、機密性を確保したステーブルコイン送金や債券発行、決済・清算システム、プライバシー保護型アイデンティティなどに関する概念実証(PoC)を開発してきたとのこと。
またイーサシステムズは公式ブログで、金融機関との商用契約では商業上の契約主体が求められることから、営利企業として設立したと説明している。同社は、イーサリアム財団で進めてきた開発を継続しながら、個別のコンサルティングやシステム開発を事業として提供する。
イーサリアム財団再編で進む役割分担
今回のイーサシステムズ設立は、イーサリアム財団が進める組織再編と同時期に行われた。同財団が今年6月に組織規模を縮小する中、元財団メンバーらによる独立組織の設立が相次いでいる。
この流れでは、元イーサリアム財団研究者らが設立した非営利研究開発組織イーサラボ(Ethlabs)が、ステーブルコインやトークン化資産などの利用拡大を見据え、イーサリアムをグローバルな決済・清算基盤として発展させるためのプロトコルやインフラに関する研究開発を進める。
また、元同財団のGTM(Go-to-Market)チームを中心に設立された非営利団体イーサリアム・インスティテューショナル(Ethereum Institutional)は、金融機関向けの窓口として設立された組織だ。同団体は、金融機関や政府機関などに対する教育や市場情報の提供、導入支援を行うほか、金融機関との対話やエコシステム内の調整も担う。
これに対しイーサシステムズは、金融機関がイーサリアムを実際に利用する際に必要となるプライバシー技術や本番システムの構築を重点領域とする営利組織として位置付けられている。
なお、イーサシステムズには、イーサリアム(Ethereum)最大級のトレジャリー(Treasury)企業であるビットマイン・イマージョン・テクノロジーズ(Bitmine Immersion Technologies)やシャープリンク(Sharplink)、イーサリアム共同創設者でコンセンシス(Consensys)CEOのジョセフ・ルービン(Joseph Lubin)氏らが初期支援者として参加している。
ビットマイン、シャープリンク、ジョセフ・ルービン氏は、イーサラボ、イーサリアム・インスティテューショナル、イーサシステムズの3組織をいずれも支援している。
New write-up: Introducing EthSystems
— EthSystems (@eth_systems) July 14, 2026
What’s in it:
– What we mean by “confidential systems for institutional Ethereum”
– The institutional demand we’ve seen up close, and why the YOLO phase of crypto is over
– Who we are, from Goldman Sachs and Status to the EF’s Institutional…