保有者保護と越境倒産への協力を推進
英国政府と米国政府が、ステーブルコインに関する共同声明を7月14日に発表した。両国はステーブルコインをデジタルマネーの革新における重要な手段と位置付け、クロスボーダー金融での利用を可能にする方針を示した。また、適切な範囲で両国の規制制度の整合性を高めることで、市場参加者により大きな明確性と確実性を提供する考えを示した。声明は、2025年9月に設立された「未来の市場のための大西洋横断タスクフォース(Transatlantic Taskforce for the Markets of the Future)」の提言の一つを受け、同提言と併せて公表された。
声明では、適切に規制されたステーブルコインが、金融システムの効率性と競争を促進し、金融市場インフラを現代化するとともに、クロスボーダー決済や取引を改善する可能性があるとした。同時に、競争と革新の促進、金融システムの安定性、消費者保護、通貨への公衆の信認を確保することも重要だとした。
そのうえで両国は、それぞれの政府が自国の要件を調整し、同等のリスクや活動には同等の規制上の結果がもたらされることを目指す方針を示した。また、両国の共通利益に資する場合には、適切な範囲で規制制度の整合性を高めていく考えも示している。
共同声明では、マネーとして利用されるステーブルコインについて、高品質で流動性の高い資産により、少なくとも1対1で完全に裏付けられるべきとの原則を確認した。準備資産として認められる資産の範囲については、それぞれの法域における規制枠組みの中で定義されることを想定している。
また、準備資産や流動性に関する規制については、リスクを軽減するとともに、ステーブルコインの制度や運用における不必要な分断を避けるべきだとした。リスクに見合わない過度な準備資産要件などにより、商業的な実行可能性を損なったり、参入障壁や運用上の非効率を生じさせたりしないよう配慮する考えも盛り込まれた。
発行体が倒産、破産、再建、破綻処理の手続きに入った場合に備え、両国は、各法域の法律に従い、ステーブルコイン保有者が準備資産に対して明確に保護された法的請求権を持ち、他の債権者より優先的に弁済を受けられる枠組みの整備を目指す考えを示した。
また、国境をまたぐ倒産手続きについても、適切な国際連携を進める方針を確認した。さらに、準備資産は発行体の自己資金とは分別して管理し、保有者の利益のために保全されるべきとの考えも盛り込まれている。
声明では、適法かつ規制対象となるステーブルコインおよびデジタル資産サービスの提供者が、リスクに応じた公平な形で、銀行などの金融サービスや市場へアクセスできる環境を確保する重要性にも言及した。
また両国は、適切な安全措置を前提に、適切に規制されたステーブルコインを決済、清算、トークン化金融市場に組み込むことを支持した。これには、証券・商品市場における清算手段としての利用に向け、ステーブルコインの発行体や利用者が市場原理に基づいて銀行などの金融サービスとの取引関係へアクセスできることも含まれる。
今回の声明で特に注目されるのは、両国がそれぞれの法制度の枠組みを前提に、一方の国で発行されたステーブルコインがもう一方の市場へアクセスできる明確な道筋について検討を進める方針を示した点だ。
実現すれば、英国と米国の間で規制を受けたステーブルコインの越境利用が進み、両市場での展開がより円滑になる可能性がある。
今回の共同声明は、両国の共有見解を示したものである。タスクフォースの提言書では、この声明は進行中の規制プロセスを置き換えたり、その結果を予断したりするものではないとされている。今後は、両国における制度整備に加え、英米金融規制作業部会(FRWG)を通じた提言の実行状況の報告が注目される。
参考:発表
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