DTC保管資産のトークン化が限定的な実運用フェーズへ
米証券市場の決済・保管インフラを担うDTCC(Depository Trust & Clearing Corporation)が、子会社DTC(Depository Trust Company)の証券トークン化サービスにおいて初となる、限定的な本番取引(Limited Production Trades)を7月15日に実施した。DTCCによると、DTC保管資産から作成されたトークンは同日、複数の本番取引で利用され、正常に処理されたという。
今回の取り組みは、DTCCが今年5月4日に公表していた計画に基づくもの。10月に予定する正式サービス開始に先立ち、本番環境で実際の取引を行うものとなる。
DTCCは、傘下のDTC、NSCC、FICCなどを通じ、米国株式や債券などの証券取引について、売買成立後の清算や決済、保管を担う金融市場インフラだ。このうちDTCは中央証券保管機関(Central Securities Depository:CSD)として、114兆ドル(約1京8,500兆円)超の資産を保管している。
今回のサービスでは、DTCで保管される証券に関する権利(Security Entitlements)をトークン化する。基礎となる証券をDTCで保管したまま、その証券に関する権利をブロックチェーンで記録・移転できる仕組みだ。DTCCは、トークン化された資産についても、従来の形態で保有される証券と同じ権利や投資家保護、所有権が維持されると説明している。
この仕組みは、参照証券への合成的なエクスポージャーを提供する一方、参照証券の発行体に対する権利を付与しないタイプのトークンとは異なる。DTCで保管される証券に関する権利をトークン化し、従来の記帳形式で保有する場合と同じ権利、投資家保護、所有権を維持したまま、ブロックチェーンで利用できるようにする設計だ。
DTCCによると今回の本番取引には、金融機関やテクノロジー企業、ブロックチェーン事業者、市場インフラ事業者など約40の企業・組織が参加したという。参加者には、J.P.モルガン(J.P. Morgan)、ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、ブラックロック(BlackRock)、バンガード(Vanguard)、ニューヨーク証券取引所(New York Stock Exchange:NYSE)などが含まれる。
米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)」は、トークン化対象となる資産として、マイクロソフト(Microsoft)やサークル(Circle Internet Group)の株式、インベスコQQQトラスト(Invesco QQQ Trust)、SPDR S&P500 ETFトラスト(SPDR S&P 500 ETF Trust)、iシェアーズ0-3カ月米国債ETF(iShares 0-3 Month Treasury Bond ETF)、米国債などを挙げている。
またJPモルガンは今回の本番取引で、DTCに保管するインベスコQQQトラストの一部をトークン化した。必要に応じて従来の証券へ戻せる仕組みも維持していると、同紙は報じている。
さらに同紙によると、参加企業はトークン化した資産を担保移転(Collateral Transfers)やレポ取引(Repo Transactions)、株式取引(Equity Trades)などで利用したとのことだ。取引は、ハイパーレジャー・ベス(Hyperledger Besu)を基盤とするDTCCのプライベートブロックチェーン、または金融市場向けパブリックブロックチェーン「カントン・ネットワーク(Canton Network)」で決済された。
なおDTCは昨年12月11日、米証券取引委員会(SEC)取引市場局スタッフからノーアクションレターを受領した。これにより、一定条件の下で、流動性の高い対象証券を扱うトークン化サービスの限定的な本番運用を3年間進められる見通しを得ていた。DTCCは今年10月にDTC参加者とその顧客向けに同サービスを正式開始する予定だ。また、2027年前半にはパブリックブロックチェーン「ステラ(Stellar)」でも、DTCでトークン化した資産を利用可能にする計画を進めている。
.@jpmorgan successfully completed an equity token conversion involving the @InvescoUS QQQ Trust (QQQ), offering a practical example of tokenization at work within trusted market infrastructure.
— DTCC (@The_DTCC) July 15, 2026
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Today, tokenization continues to move from discussion toward real-world market activity.
— DTCC (@The_DTCC) July 15, 2026
Through live production use cases, DTCC is demonstrating how tokenized assets move through established market infrastructure.
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