イーサリアム財団が新体制発表、54人削減で5つの主要クラスター中心再編

EFマンデート実行へ、新組織体制を発表

イーサリアム(Ethereum)を支援するイーサリアム財団(Ethereum Foundation)が、新たな組織体制を6月23日に発表した。あわせて、同財団全体の約20%にあたる54人が組織を離れることも明らかにしている。

イーサリアム財団によると、今回の再編は今年3月に公開した組織方針文書「EFマンデート(EF Mandate)」および2025年6月に公表した財務管理方針の実施の一環として行われたという。

EFマンデートでは、利用者の自己主権(self-sovereignty)を支えることをイーサリアムの目的としたうえで、「検閲耐性(Censorship Resistance)」、「オープンソース(Open Source)」、「プライバシー(Privacy)」、「セキュリティ(Security)」の4つを重視する「CROPS」の原則を掲げている。

また同文書では、イーサリアム財団はイーサリアムの「親」や「支配者」、「最終的な権威」ではなく、ネットワークの原則を守るための「スチュワード(管理者)」であると位置付けられていた。

また同財団は、「今後の重要な課題を実行するために必要な構造、活動、人材を備えることになった」と説明している。

新体制では、「プロトコルレイヤー(Protocol Layer)」、「アクセスレイヤー(Access Layer)」、「ユーザーレイヤー(User Layer)」、「コミュニティレイヤー(Community Layer)」、「機関レイヤー(Institutional Layer)」の主要な5つの業務領域クラスター(組織単位)を設置する。また、オペレーション担当クラスターと、経営陣および経営支援チームからなるクラスターも設ける。

このうちプロトコルレイヤー・クラスターは、イーサリアムの検閲耐性やオープンソース性、プライバシー、安全性などの維持・強化を担う。具体的には、プロトコルのスケーリングや安全なアップグレードの実施に加え、ポスト量子暗号対応やzkEVM、レイヤー1(L1)のプライバシー技術などの研究を進めるとのこと。

アクセスレイヤー・クラスターは、利用者やAIエージェントが仲介者に依存せずにチェーンの読み取りや取引、証明、委任、資産の退出などを行える環境の整備を担当する。

ユーザーレイヤー・クラスターは実際の利用者や組織のニーズを把握し、プロトコルやアクセスレイヤーに反映する役割を担う。

コミュニティレイヤー・クラスターは、イーサリアム財団の価値観や活動内容をエコシステム内外へ伝える役割を持つ。

機関レイヤー・クラスターは、金融機関や企業、政府機関、大学、非営利団体などによるイーサリアム活用を支援するとしている。

なお、今回の組織再編に関連し、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は6月23日に自身の考えを示した。同氏によると、イーサリアム財団は今年の予算を40%削減する方針で、これは2025年6月に公表された財務管理方針に基づくものだという。イーサリアム財団は長期的に基金(エンダウメント)型の組織への移行を進めており、年間支出率については、2026年以前の平均約15%から、2030年以降は約5%まで引き下げることを目指しているとのことだ。

またブテリン氏は、今回のイーサリアム財団の再編によって失われるものもあるとしたうえで、「離れる同僚たちは優秀な人材だ」と説明。プライバシー・アンド・スケーリング・エクスプロレーションズ(Privacy and Scaling Explorations:PSE)の縮小や、開発者会議「デブコン(Devcon)」の小規模化、機関向け活動の範囲縮小などを例として挙げている。

イーサリアム財団は、今回組織を離れるメンバーに対し、勤続年数に応じた退職金やキャリア支援などを提供すると説明している。また、多くの人材が今後もイーサリアム財団外部からイーサリアムエコシステムへ貢献することになるとの見通しを示した。なお、元イーサリアム財団研究者らによる独立した非営利研究開発組織「エスラボ(Ethlabs)」が6月23日に設立を発表している。

参考:ブログ
画像:Ethereum

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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