Sui、残高や送金額を秘匿する「Confidential Transfers」公開ベータ開始

Suiが秘匿送金機能を提供開始

レイヤー1ブロックチェーン「スイ(Sui)」におけるトークン残高や送金額を秘匿できる機能「コンフィデンシャル・トランスファーズ(Confidential Transfers)」の公開ベータ版が提供開始された。スイ財団(Sui Foundation)が6月8日に発表した。

同機能では、送金者および受取人のアドレスは公開したまま、トークン残高や送金額をオンチェーン上で暗号化できる。スイ財団によると、決済事業者やステーブルコイン発行体、企業の財務管理などで求められる機密性とコンプライアンス対応の両立を目的としているという。

また同機能では、トークン発行体が監査権限やデータ閲覧権限を設定できる。また必要に応じてアカウント凍結や資産回収などの管理機能も利用できるとのこと。

スイ財団は現在、決済大手ストライプ(Stripe)傘下のステーブルコイン発行・管理企業ブリッジ(Bridge)と、ステーブルコインの送金・決済における同機能の活用可能性を検証しているという。

そのほか同財団は、ブロックチェーン分析・コンプライアンス企業のTRMラボ(TRM Labs)やマークル・サイエンス(Merkle Science)と連携していると説明している。リスク評価や取引監視、不正調査などでどのように秘匿送金が機能するかを検証しているとのことだ。

ブロックチェーン業界で進む機密性機能の導入

パブリックブロックチェーンでは、すべての取引履歴や残高が閲覧できることが透明性の強みとされてきた。一方で、企業間決済や財務管理、給与支払いなどの用途では、取引金額や保有残高を公開したくないというニーズも存在する。

こうした課題への対応として、近年は複数のブロックチェーンで機密性機能の導入が進められている。

ソラナ(Solana)は2025年4月、送金額や残高を秘匿できる「コンフィデンシャル・トランスファー(Confidential Transfer)」が導入されている。ただし、現在は同機能を支える暗号プログラム「ZKエルガマル・プログラム(ZK ElGamal Program)」のセキュリティ監査に伴い、メインネット・デブネット共に同機能が利用できない状態になっている。

また、アプトス(Aptos)は今年4月、ネイティブトークン「APT」の残高や送金額を暗号化できる「コンフィデンシャルAPT(Confidential APT)」を導入した。同機能では送信者と受信者のアドレスは公開したまま、送金額や残高のみを秘匿する仕組みが採用されている。

一方、今回のスイの仕組みはアプトスやソラナの取り組みとは異なる特徴を持つ。

アプトスのコンフィデンシャルAPTはネイティブトークンAPTのみを対象としている。一方、スイではステーブルコイン、トークン化資産(RWA)など、スイ上の任意のトークンで利用できる設計となっている。

また、ソラナやアプトスでは主に残高や送金額の秘匿化に重点が置かれている。それに対し、スイでは送金額の秘匿化に加え、トークン発行体が監査権限や凍結権限を設定できるなど、発行体による管理機能がネイティブな機能として組み込まれているのが特徴だ。

さらにスイでは、実際に秘匿送金を利用するかどうかはユーザーが選択できる一方で、機密モードの有効化や監査体制、運用ルールなどはトークン発行体が管理する仕組みだ。

スイ財団は、金融システムがオンチェーンへ移行するためには機密性だけでなくコンプライアンスや監査対応も必要になると説明している。同機能について、既存の金融システムに近い形で機密性を実現することを目指しているとのことだ。

参考:ブログギットハブ
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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