イーサリアム財団、プロトコル開発体制を再編。新リーダー3人を発表

次期アップグレードへ組織再編加速

イーサリアム財団(Ethereum Foundation:EF)が、プロトコルクラスターの新リーダー体制を5月11日に発表した。著名開発者のティム・ベイコ(Tim Beiko)とバルナベ・モノ(Barnabé Monnot)が近く財団を離れ、アレックス・ストークス(Alex Stokes)が研究休暇に入ることを受けた人事刷新となる。

プロトコルクラスター(旧称:Protocol R&D)は、イーサリアムのベースプロトコルの設計・研究・開発・調整を担うEFの中核チームだ。AllCoreDevsミーティングの運営、暗号研究、プロトタイピング、セキュリティ、zkEVM、P2Pなど幅広い領域を統括する。

新たなクラスターリードには、ウィル・コーコラン(Will Corcoran)、ケブ・ウェダーバーン(Kev Wedderburn)、フレドリック(Fredrik)の3名が就任する。コーコランはzkVM証明や耐量子コンピューター向けセキュリティなどのR&D業務を担うリサーチコーディネーターだ。ウェダーバーンはzkEVMチームを率い、フレドリックはプロトコルセキュリティおよびEFが新たに立ち上げた「Trillion Dollar Security」プロジェクトを主導している。

コーコラン氏はX上で「プロトコルクラスターの新しい章が始まる。新しいリードとコーディネーターを迎え、グラムステルダム(Glamsterdam)、ヘゴタ(Hegotà)、ストローマップ(Strawmap)に向けた取り組みを続けていく」と述べた。

今回の移行は、ノルウェーのスヴァールバル諸島で開催された開発者向け週間イベント「インターロップ(Interop)」の場で正式にスタートした。同イベントでは次期アップグレード「グラムステルダム」の開発準備も同時に進められた。

グラムステルダムはイーサリアムの次期大型スケーリングアップグレードで、メインネットのガスリミットを2億規模へ引き上げる目標のほか、「Enshrined Proposer-Builder Separation(ePBS)」の導入に向けた開発が進められている。インターロップ期間中にはマルチクライアントdevnetの稼働も確認された。なおePBSは、イーサリアムのブロック生成において、取引を組み立てる「ビルダー」と、ブロックを提案する「バリデーター」の役割分担を、プロトコル本体に組み込む仕組みのこと。

その後の「ヘゴタ」アップグレードでは、イーサリアムの検閲耐性強化を目的とする「FOCIL」の導入が予定されており、プロトタイプの開発もすでに機能している段階だという。

なお離任するモノ氏は、EFでの6年超にわたる活動を振り返りつつ「プロトコルの優先事項、特に『UX改善』に関する取り組みを通じて、より近い将来の課題に目を向けるようになった。今後はよりプロダクト中心の視点で、イーサリアムのユニークな機能をユーザーが今すぐ使えるようにすることに取り組んでいきたい」とXに投稿した。

EFは昨年来、イーサリアムの競争力強化を目的とした大規模な組織再編を進めており、メインネットのスケーリング投資に加え、量子セキュリティやプライバシー研究にも注力している。一方で、財団の方向性やガバナンスを巡ってはコミュニティ内で議論も続いている。

参考:発表 
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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