ニア、AI対応を含む統合基盤と消費者向けフロント「near[.]com」を公開

ニアがAIエージェント時代を見据えた統合実行

経済基盤を発表 ・レイヤー1ブロックチェーン「ニア(NEAR)」による、クロスチェーン実行、秘匿取引、AIエージェント実行環境などを含む統合インフラと、消費者向けフロントエンド「near.com」が2月25日に発表された。これらは、米サンフランシスコで開催された同社のカンファレンス「ニアコン(NEARCON)」で発表され、「near.com」はすでに公開されている。

今回の発表では、ニアを単なる高性能レイヤー1ブロックチェーンとしてではなく、自律的な市場やAIエージェントが実行・決済を行うことを前提とした「統合的な実行・経済レイヤー」として再定義する方針が示された。ブロックチェーンとAIを前提とした新たな経済インフラ構築が狙いだという。

この方針のもとで公開されたのが、消費者向けフロントエンドの「near.com」だ。同サービスは35以上のブロックチェーンに対応し、単一アカウントで複数チェーン上の資産管理やクロスチェーン取引を行える設計とされている。発表によると、ユーザーは手動のガス調整やブリッジ管理、ルーティングを意識することなく、クロスチェーンスワップや送金、ピアツーピア決済などを実行できるという。

near.comは、ニアが提供するクロスチェーン実行基盤「ニア・インテンツ(NEAR Intents)」を中核に据えている。ニア・インテンツは、「どう実行するか」ではなく「何を達成したいか(意図)」を指定する設計だ。たとえば「イーサリアム上の1ETHをアービトラム上のUSDCにしたい」といった要求を提出する形だ。これにより、ブリッジや見積取得、スワップ実行といった手順管理の負担を軽減する狙いとのこと。

またニア・インテンツには、クロスチェーン取引に秘匿性を付与する「コンフィデンシャル・インテンツ(Confidential Intents)」が組み込まれている。送金や入出金、スワップなどの取引において、取引内容の可視性を制限しつつ、オンチェーンでの検証可能性の維持を目的とした仕組みとされる。この秘匿取引機能は、機関投資家や戦略的な取引を行う主体にとって、フロントランニングや取引内容の模倣を防ぐ手段として有効だという。

AI領域では、ハードウェアレベルで保護された環境でAIエージェントを稼働させるための実行基盤「アイアン・クロー(IronClaw)」が公開された。暗号化されたエンクレーブ内でAIエージェントを常時稼働させることで、認証情報や機密データがホスト事業者やインフラ提供者から分離される設計だという。

あわせて、政府機関や企業向けの利用を想定した「コンフィデンシャルGPUマーケットプレイス(Confidential GPU Marketplace)」も発表された。GPU上での計算処理を暗号化環境内で実行し、計算中のデータが外部から閲覧できない形で推論処理を行うことを可能にするとしている。

基盤技術としては、ニアの次期アーキテクチャ「ナイトシェード3.0(Nightshade 3.0)」も発表された。コンセンサスと実行の分離やアトミックトランザクション、プライベートシャードの導入などを通じて、スケーラビリティと秘匿性の両立を図るとしている。

さらに、ニア・インテンツの利用拡大に連動した手数料分配の仕組みや、トークンの買い戻しなどを含む経済設計の刷新についても言及された。発表によると、すでにニア・インテンツ経由の収益を活用し、一定額のニアトークンの買い戻しが実施されているという。

ニアは今回の一連の発表を通じて、ブロックチェーンとAIを統合した実行・経済基盤としての機能を強化し、人間だけでなくAIエージェントが自律的に取引や決済を行う市場を支えるインフラを構築する方針を明確にしたとしている。

参考:プレスリリースnear.com 
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

合わせて読みたい記事