イーサリアム財団、昨年の財務戦略に基づき約7万ETHのステーキング開始

Dirk/Vouch採用で分散設計

イーサリアム財団(Ethereum Foundation:EF)が、昨年公表した財務方針に基づき、保有資産の一部をステーキングする取り組みを開始したことを2月24日に発表した。

EFは2025年6月に財務方針を刷新し、2025〜2026年を戦略フェーズと位置づけ、トレジャリーの積極運用を打ち出していた。今回のステーキング開始は、その具体的な実行段階にあたる。

発表によると、EFは約70,000ETHを段階的にステーキングし、そこから得られる報酬はEFのトレジャリーへ還元するという。すでに最初のデポジットとして2,016ETHが入金されており、残りのバリデータ分についても今後数週間にわたって順次実施される予定だ。

今回のステーキングにあたり、EFはオープンソースのソフトウェアである「ダーク(Dirk)」と「ヴァウチ(Vouch)」を採用している。ダークやヴァウチは、もともとアテスタント(Attestant)が開発したオープンソースのバリデータ運用支援(クライアント)ソフトウェアだ。

アテスタントは2024年11月にビットワイズマネジメント(Bitwise Asset Management)に買収され、現在はビットワイズ(Bitwise)の機関投資家向けオンチェーンインフラ部門「ビットワイズ・オンチェーン・ソリューションズ(Bitwise Onchain Solutions)」の一部としてプロダクトとチームが継続している。

ダークは分散型署名基盤として機能するソフトウェアで、複数の法域や地域に署名者を分散配置できる設計となっている。これにより、単一障害点を排除し、検証業務が特定の拠点や主体に依存しない体制を構築できるとのこと。

一方のヴァウチは、複数のビーコンチェーンクライアントとエグゼキューションクライアントの組み合わせをサポートするツールだ。さまざまな設定戦略を活用することで、クライアントの偏りによって生じるリスク、いわゆるクライアント多様性リスクの軽減を図ることが可能だという。

さらにEFは、こうしたマイノリティクライアントを採用するとともに、複数の法域にまたがるホスティングインフラと自営ハードウェアを組み合わせた構成でバリデータを運用している。こうした設計により、ネットワーク全体の分散性と耐障害性の向上にも配慮した体制を整えているという。

また今回のバリデータでは、「Type 2(0x02)」の引き出しクレデンシャル(認証情報)が利用されている。

この方式では、バリデータ残高をアカウント間で移動できる転送性が確保されており、統合処理を通じて署名鍵の管理体制を迅速に変更できる点が特徴だ。また、1バリデータあたり最大2,048ETHまで有効残高を設定できるため、必要となる署名鍵の数をおよそ35個程度まで削減でき、鍵管理の簡素化にもつながるという。

さらに「Type 2(0x02)」は、従来の0x01クレデンシャルと同様に、バリデータがオフラインの状態であっても、引き出しアドレスから退出処理を実行できる柔軟性も備えている。

なお今回の構成ではプロポーザー・ビルダー分離(PBS)のサイドカーは利用せず、ブロックはローカルで構築する方式を採用しているとのこと。

EFは、今回の取り組みについて、コンセンサスにソロステーキングで直接参加することで、ネットワークの安全性向上に寄与すると同時に、ETH建てのネイティブ利回りを生み出し、EFの基盤的活動を支える狙いがあると説明している。

得られた報酬は、プロトコルの研究開発(R&D)、エコシステム開発、コミュニティへの助成金プログラムなど、財団の中核的な活動に充てられる見込みだ。

またEF自らがイーサリアムの経済的レール上で発生する摩擦やリスク、運用上の実務的課題を引き受けることで、透明性の高い運用モデルを示すとともに、バリデータ管理における実務的な標準を提示する意味もあるとのことだ。 

参考:発表
画像:iStocks/Rawpixel・PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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