米マサチューセッツ州、予測市場カルシのスポーツ提供を差し止める方針=報道

金融商品か賭博か、予測市場カルシに州規制適用判断

米マサチューセッツ州の裁判所が、予測市場プラットフォームを運営する米カルシ(Kalshi)に対し、州内居住者向けにスポーツ関連の予測契約を提供することを州のライセンスなしでは禁じる予備的差止命令を出す意向を示した。「ロイター(Reuters)」が1月21日に報じた。

報道によるとボストンのサフォーク郡上級裁判所のクリストファー・バリー=スミス(Christopher Barry-Smith)判事は、同州司法長官アンドレア・ジョイ・キャンベル(Andrea Joy Campbell)氏の申し立てを認め、カルシが州の免許を取得せずにスポーツイベントの結果に基づく金融的な賭けを提供しているとして、予備的差止命令を出す方針を示したという。

判事は判断理由の中で、スポーツ賭博事業に対する免許制度と監督は「公衆の健康と安全、そして州の財政的利益に資するものだ」と指摘したとのこと。その上で、今後の審理を経て州のスポーツ賭博法を順守することを求める差止命令を最終化する意向を示している。あわせて、控訴手続きのため、命令を一時停止するかも検討されるとのこと。

ニューヨーク拠点のカルシは、さまざまな事象の結果に基づく「イベント契約」を取引できるプラットフォームを提供している。同社は2025年1月から全米でスポーツ関連の契約提供を開始しており、判事の判断文によれば現在ではスポーツ関連契約が取引量の大半を占めているという。

今回の訴訟でマサチューセッツ州は、カルシがスポーツ賭博を「イベント契約」として提供することで、州のギャンブル規制を回避していると問題視している。これに対しカルシは、同社のイベント契約は米CFTC(商品先物取引委員会)が監督するデリバティブ取引に該当し、州のギャンブル法は適用されないと主張してきた。

しかしバリー=スミス判事は、こうした主張を「過度に広範な解釈」だと退け、連邦法が州による伝統的なギャンブル規制権限を一律に排除する意図はないと判断した。

なお米国では近年、カルシのようにCFTC登録の枠組みで運営される「イベント契約」型の予測市場が注目を集めてきた。一方で、ポリマーケット(Polymarket)については、過去のCFTCの措置(和解・停止等)の経緯から、米国再参入を果たしているため、規制上の位置づけは個別に整理する必要がある。

一方で、州政府の側では、特にスポーツ分野の予測契約について、実質的にはスポーツ賭博に該当するとして問題視する動きが続いてきた。カルシやポリマーケットを巡っては、複数の州が州法違反を理由に提訴や是正要求を行っており、連邦と州の規制権限の解釈を巡る裁判が各地で進行している状況にある。

カルシはこれまでにも、マサチューセッツ州以外にも複数の州と係争を抱えているが、マサチューセッツ州は(報道上)同社の事業停止を求める差止命令を州側から求めた初の事例とされる。

今回の判断の後、弁護士のダニエル・ウォラック(Daniel Wallach)氏は自身のXアカウントで、ニューヨーク州ゲーミング委員会(NYSGC)がマサチューセッツ州の判断を補足的な法的根拠として裁判所に提出していると伝えている。

ちなみにカルシでは最近、暗号資産(仮想通貨)との接点も拡大しており、トロン(TRX)やトロン上のUSDT、セイ(Sei)上のUSDCなどブロックチェーン資産の入出金手段としての対応が進んでいる。またカルシの流動性を活用したトークン化予測市場が、ソラナ(Solana)上で利用可能になっている。

参考:ロイター
画像:PIXTA

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