JPモルガン、プライベートファンドのトークン化ソリューションを開始=報道

JPモルガンがシティコと共同で資金移動を自動化

米金融大手JPモルガン・チェース(JPMorgan Chase)が、独自ブロックチェーン「キネクシス(Kinexys)」を活用した初のファンド取引処理を実施したと10月30日に複数のメディアが報じた。報道によると、この取引は同社の資産運用およびウェルスマネジメント部門が、ファンド管理会社シティコ(Citco)と共同で実施したものだという。

今回利用された新システム「キネクシス・ファンド・フロー(Kinexys Fund Flow)」は、オルタナティブ投資ファンドの資本移動を自動化・記録する仕組みで、投資家の出資記録をトークン化しスマートコントラクトを用いて資金を自動的に移動させるものだ。これにより従来の手動による照合作業やワイヤ送金を不要にし、業務効率化とコスト削減を図るという。

同システムは、JPモルガンがこれまでに開発したトークン化預金やオンチェーン決済商品を支えるプライベート型の「キネクシス」ネットワーク上で稼働している。今後は2026年にかけて機能拡張を予定しており、来年初頭にはより広範な展開が開始される見込みだ。

キネクシスは、今年8月にオンチェーン上での即日レポ取引(インターデイ・レポ)を可能にするソリューションを導入しており、今回のファンド・フローはその延長線上にある取り組みとされる。

9月にはカタールの大手金融機関QNBグループ(QNB Group)が法人向け米ドル決済にキネクシスを導入し、最短2分での即時決済を実現したと報じられている。さらに10月には韓国のポスコ・インターナショナル(POSCO International)が同システムを採用し、韓国で初めて貿易代金のクロスボーダー決済における実運用を開始した。

こうした導入事例が相次ぐなか、JPモルガンは決済・資産管理・ファンド運用といった金融インフラ全体へのブロックチェーン適用を本格化させている。

参考:ザ・ブロック
画像:iStocks/LewisTsePuiLung

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