バックパック、ゼロ知識証明を活用した日次準備金証明を開始

Backpackが日次準備金証明を開始

海外暗号資産(仮想通貨)取引所のバックパック(Backpack)が、ゼロ知識証明(zero-knowledge proof:ZKP)技術を活用したリアルタイムの準備金証明(Proof of Reserves:PoR)システムの日次公開の開始を8月18日に発表した。同システムはブロックチェーンセキュリティ企業の「オッターセック(OtterSec)」と共同で構築・検証されている。

同取引所では新設した準備金透明性ページにて、ユーザーが保有するウォレットの詳細確認や資産内訳の閲覧、残高の検証を行えるようになった。またオッターセックが独立してホストする検証済みソースページも提供され、すべての履歴証明を閲覧できるとのことだ。

バックパックは取引所台帳全体を、認証済みトランザクションのグローバル線形ログをベースとした決定論的ステートマシン上で構築している。これにより注文の配置、キャンセル、清算、入出金といったすべての操作が署名付きトランザクションとして処理される仕組みだ。

同システムでは、準備金証明により台帳をパブリックチェーンに固定し、さらにその台帳が正確に計算されたことを保証するため、すべてのステート遷移が実行可能で公開証明台帳と照合できる完全な検証可能性を実現している。なお現在は日次証明にコミットしているが、実際にはリアルタイムで残高調整を実行し10分ごとに証明を生成しているとのことだ。

準備金証明の対象範囲は、取引所上のすべての「物理的」残高をカバーしている。これには利用可能残高(ポートフォリオ内のトークン)、未決済注文(オーダーブック内のトークン)、未借用貸出(貸し出されているが借用されていないトークン)が含まれる。

バックパックでは、オーダーブック内のすべての残高が物理的であり、チェーン上のウォレット残高に直接マッピングされるため、表示される流動性が常に実在し準備金証明を通じてパブリックチェーンに固定されることを保証している。また先物取引では損益がリアルタイムで実現されるため、ポジションのすべてのオープン損益が準備金証明に含まれる。

なおゼロ知識証明のコードはすべて公開されており、世界中の誰でも閲覧、複製、実行が可能だ。同社は今後も中央集権型取引所のスタック全体に真の信頼最小化を実現するため、カストディ、マージンリスク管理、セルフカストディなど多くの分野での改善を計画しているとのことだ。

 

参考:証明書公開ページ
画像:iStocks/Ket4up

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

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