「現金はバックアップとして必要」
イーサリアム(Ethereum)の共同創業者であるヴィタリック・ブテリン(Vitalik Buterin)氏は、イーサリアムが現金のバックアップ手段として機能するためには、より強靭でプライバシー保護が強化される必要があるとの見解を示した。
ブテリン氏は5月25日、自身のXにて、北欧諸国がキャッシュレス社会の推進を見直しつつあることに触れ、「(キャッシュレス社会構想は)中央集権的な実装があまりにも脆弱であるため、現金がバックアップとして必要」とし、「イーサリアムは、このような役割を信頼性を持って担えるだけの強靭さとプライバシー性を備える必要がある」と投稿した。
また、ブテリン氏は、完全オフラインでゼロ知識証明(ZKP)によるプライベート送金のモデルの実用化について、「基本的な実現方法はわかってきているが、どんなソリューションにも信頼できるハードウェアや、二重支払いを防止するための事後的な執行に依存するという制限がある」と述べている。
「ガーディアン」紙によれば、GDPに占める現金の割合が世界で最も低い国の一つであるスウェーデンでは、地政学的リスクの高まりを受けて、国民に現金の保有と使用を促す動きが出ているという。2024年11月には、国防省が各家庭に「危機や戦争が来たら」と題したパンフレットを配布し、定期的な現金の使用と、さまざまな額面で少なくとも1週間分の現金を保有するよう勧告した。
同国では長年、決済において効率性が最優先事項であったが、同国中央銀行によれば、現在では安全性とアクセスのしやすさも「少なくとも同等に重要」との姿勢を示している。
また、スウェーデン同様にキャッシュレス化が進むノルウェーでは、政府がサイバー攻撃のリスクを踏まえ、デジタル決済に過度に依存しないよう、現金を一定量手元に保管することを国民に呼びかけているとのことだ。
Nordics are walking back the cashless society initiative because their centralized implementation of the concept is too fragile. Cash turns out necessary as a backup.
— vitalik.eth (@VitalikButerin) May 25, 2025
Ethereum needs to be resilient enough, and private enough, to be able to credibly play this kind of role.… pic.twitter.com/eFVYT254qN
参考:ガーディアン紙
画像:PIXTA