グレースケール、現物ビットコインETF「GBTC」のスピンオフ版「Grayscale Bitcoin Mini Trust」申請

グレースケールが「Grayscale Bitcoin Mini Trust」申請

暗号資産(仮想通貨)運用会社のグレースケール・インベストメンツ(Grayscale Investments)が、同社の現物ビットコインETF(上場投資信託)「グレースケール・ビットコイン・トラスト(Grayscale Bitcoin Trust:GBTC)」のスピンオフ版となる新たな投資商品「グレースケール・ビットコイン・ミニ・トラスト(Grayscale Bitcoin Mini Trust)」を申請した。

事情に詳しい関係者によるとこのスピンオフ版は、投資家にビットコインへのエクスポージャーを低額の手数料で提供する狙いの一環だという。

グレースケールの「GBTC」は1月に信託からETFへの転換認定を受けたが、現在のところ同業他社よりも手数料が高いとのこと。このことは、投資家が他社のETFに流れてしまう重要な要因の一つになっているとロイターは報じている。

「グレースケール・ビットコイン・ミニ・トラスト」は、「GBTC」が保有する一定量のビットコインを受け取る投資商品。グレースケールは同商品の株式上場を申請したが、「GBTC」の現株主は見返りとして「ミニ・トラスト」の株式が取得できると同社は述べた。

暗号資産調査会社ビットメックス・リサーチ(BitMEX Research)のデータによると1月以降、ビットコインが史上最高値まで上昇し、同機関に競合他社が資金流入を記録したにもかかわらず、「GBTC」は110.5億ドル(約1兆6,305億円)の資金流出を記録した。

提出書類によるとグレースケールは、「ミニ・トラスト」が請求する手数料についてまだ決定をしていない。

スピンオフ後は「GBTC」と「ミニ・トラスト」はそれぞれ独立した運営がされるとのこと。

 同社は証券取引委員会(SEC)との法廷闘争で画期的な勝利を収め、1月に現物ビットコインETF(株主が直接ビットコインを保有することなく、ビットコインへのエクスポージャーを得ることができる投資ビークル)が承認された。

その承認以来、競合のブラックロック(BlackRock)の「アイシェアーズ・ビットコイン・トラスト:iShares Bitcoin Trust(IBIT)」とフィデリティ(Fidelity)の「フィデリティ・ワイズ・オリジン・ビットコイン・ファンド:Fidelity Wise Origin Bitcoin Fund(FBTC)」は、それぞれ105.9億ドル(約1兆5,626億円)と63.7億(約9,400億円)ドルの資金流入を記録している。

ETFの高揚感と連邦準備制度(FRB)がすぐに利下げするという期待により、世界最大の暗号資産(仮想通貨)であるビットコインは7万2000ドルを超える水準に上昇した。

関連ニュース

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Grayscale plans spin off of spot bitcoin ETF
(Reporting by Niket Nishant in Bengaluru and Hannah Lang in Washington; Editing by Vijay Kishore and Jan Harvey)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
images:Reuters

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

大津賀新也

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。

合わせて読みたい記事

︎マスターカードがカーボンクレジットのトークン化における概念実証完了、スタンダードチャータード銀行らと

決済大手の米マスターカード(Mastercard)が、スタンダードチャータード銀行香港(Standard Chartered Hong Kong:SCBHK)及びその関連会社と、顧客預金およびカーボンクレジットのトークン化における試験的な概念実証(proof-of-concept pilot:PoC pilot)の完了を5月14日発表した