米FRBが分散台帳技術ベースのペイメント検証結果を公表

米FRBが分散台帳技術ベースのペイメント検証結果を公表

米国の連邦準備制度理事会(FRB)が2019年に行った分散台帳技術(DLT)ベースのペイメントを検証する「FooWire(フ―ワイヤー)プロジェクト」の結果を8月13日に公表した。

この「FooWireプロジェクト」の目的は、DLTのペイメントに対するポテンシャルを研究の視点から客観的に評価することとされている。

公表された資料によると「FooWireプロジェクト」では、エンタープライズ向けブロックチェーンである「Hyperledger Fabric(ハイパーレッジャーファブリック)」を基盤技術として使用し、その上にシンプルなペイメントシステムを構築したとのこと。基盤技術にFabricを採用した理由としては、許可型ブロックチェーンであること、比較的成熟した技術であること、エンタープライズ向けに開発されていることの3点が挙げられている。

この構築したペイメントシステム上には仮想の組織として中央銀行、政府機関、民間銀行の3つが設置され、三者間で「Fund」と呼ばれるアセットのやり取りが行われたとのこと。

今回の実験から得られたポイントとしては「DLTがペイメントに関して有用性を持っていること」「DLTネットワーク自体の改善が比較的素早く行えること」「Fablic上でスマートコントラクトを記述することが容易であること」「Fablicには多くの拡張機能があること」の4点が挙げられた。

FRBは今回の実験に関して「DLTにはペイメントに関する潜在的な可用性があり、DLTを利用することで比較的シンプルかつ拡張性のある決済システムを構築することが可能であるが、セキュリティやスケーラビリティやプライバシーに関しては厳密な評価が必要」と結論付けている。

編集部のコメント

FRBが行った今回の実験は、日本銀行と欧州中央銀行(ECB)が共同で行ったStellaプロジェクトと同様に「ホールセール決済にDLT技術を組み込む」という形となっており、将来的にはDLTの中央銀行デジタル通貨(CBDC)への応用を見越した実験とも考えられます。 アメリカのCBDC関連の取り組みとして、ボストン連邦準備銀行がマサチューセッツ工科大学(MIT)とパートナーシップを締結し、複数年にわたって仮想の中央銀行デジタル通貨を開発およびテストするためのプロジェクトに取り組むことが、FRB理事のラエル・ブレイナード氏の演説によって8月13日に明らかになっています。

コメント:小俣淳平(あたらしい経済)

(images:iStock/dalebor・kentoh・BestForBest)

この記事の著者・インタビューイ

あたらしい経済 編集部

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

「あたらしい経済」 はブロックチェーン、暗号通貨などweb3特化した、幻冬舎が運営する2018年創刊のメディアです。出版社だからこその取材力と編集クオリティで、ニュースやインタビュー・コラムなどのテキスト記事に加え、ポッドキャストやYouTube、イベント、書籍出版など様々な情報発信をしています。また企業向けにWeb3に関するコンサルティングや、社内研修、コンテンツ制作サポートなども提供。さらに企業向けコミュニティ「Web3 Business Hub」の運営(Kudasaiと共同運営)しています。

これから「あたらしい経済」時代を迎える すべての個人 に、新時代をサバイバルするための武器を提供する、全くあたらしいWEBメディア・プロジェクトです。

合わせて読みたい記事

【11/8話題】ビットバンクがBitbank Ventures設立、米デトロイト市が暗号資産での納税を受け入れへなど(音声ニュース)

ビットバンク、投資事業子会社「Bitbank Ventures 合同会社」設立、米デロイト市、暗号資産での納税を2025年から受け入れへ、仏当局が「ポリマーケット」を調査、トランプへの賭けでフランス人が約7,900万ドル獲得、スイス中銀総裁、暗号資産になお警戒感「現金決済は今後も重要」、コインベース、ラップドビットコイン「cbBTC」をソラナに導入、JPモルガンのブロックチェーン決済「Onyx」が「Kinexys」に名称変更、FXサービス導入も、バイビットがジョージアでVASPライセンス取得、取引サービス提供可能に、ブロックチェーンでエッセンシャルワーカーの社会貢献行動を可視化、チェーントープが「Chaintope Greeners」提供へ

Sponsored

スイス中銀総裁、暗号資産になお警戒感「現金決済は今後も重要」

スイスの中央銀行であるスイス国立銀行(SNB)のマルティン・シュレーゲル(Martin Schlegel)総裁が、中銀はビットコインやイーサリアムなどの暗号資産(仮想通貨)に警戒しているとした上で、現金はスイスの決済システムにおいて今後も重要な役割を担うだろうと11月7日述べた