アーベ、rsETHインシデント受けリスク管理強化へ。v3上場の全資産レビュー実施

ブリッジやオラクル依存も審査対象に

レンディングプロトコル「アーベ(Aave)」の開発元アーベラボ(Aave Labs)が、4月18日に発生したrsETHインシデントに関する事後報告書(ポストモーテム)を5月31日に公開した。

同報告では、事故対応や復旧状況に加え、今後の資産上場基準やリスク管理体制の見直し方針も示された。

今回の発表は、4月18日に発生したリキッドリステーキングプロトコル「ケルプDAO(KelpDAO)」のrsETHを巡るインシデントを受けたものだ。同事案ではユニチェーン(Unichain)からイーサリアム(Ethereum)へのrsETHブリッジにおいて、不正なクロスチェーンメッセージが受理されたことで、本来の裏付けを伴わない116,500rsETHがイーサリアム側で払い出されたという。

アーベラボによると、攻撃者は不正取得したrsETHのうち89,567rsETHをアーベV3の8つのポジションに担保として預け入れ、82,650WETHおよび821wstETHを借り入れていたという。

アーベラボは、今回のインシデントはクロスチェーンメッセージングプロトコル「レイヤーゼロ(LayerZero)」を利用したrsETHブリッジ上で発生したものであり、アーベのスマートコントラクトやオラクル自体が侵害されたものではないと説明している。

一方で同社は、今回の事案によって改善余地があったと評価している。資産そのもののリスクだけでなく、ブリッジやオラクル、保管インフラなど外部システムへの依存リスクも評価する必要性が明らかになったとのことだ。

そのためアーベラボは、今後の対策としてアーベV3に上場している全資産を対象にレビューを実施する方針を示した。同レビューでは、ブリッジインフラやオラクル、第三者スマートコントラクトなどの外部依存要素に加え、運営体制や保管インフラ、市場流動性なども評価対象に含めるという。

また同社は、基準を満たさない資産について、供給上限・借入上限・LTV・担保利用可否などの制限や、上場・拡張の見送りを含む対応を検討するとしている。あわせて、ブリッジ評価フレームワークや新たな資産上場基準の整備も進める方針だ。

さらに、担保資産のリスクが一定水準を超えた場合に、自動的にLTV(担保掛目)を0へ引き下げるなどの自動的なリスク抑制措置の導入も検討しているとのこと。これにより、問題のある担保資産を利用した借入が市場全体へ波及するリスクを抑える狙いがあるという。

DeFi Unitedは約3億ドル規模に

アーベラボは、今回のインシデントを受け、rsETHの裏付け回復と影響を受けたDeFiプロトコルの正常化を目的として、同社主導で業界横断の支援枠組み「ディファイ・ユナイテッド(DeFi United)」を組成した。

同枠組みには、ライドDAO(Lido DAO)、イーサファイ財団(EtherFi Foundation)、エセナ(Ethena)、マントル(Mantle)、ケルプDAO、レイヤーゼロ(LayerZero)、コンパウンド(Compound)、コンセンシス(Consensys)などが参加したとのこと。

同報告によると、ディファイ・ユナイテッドによる支援コミットメントは最終的に約3億ドル(約479億円)規模に達したという。

また、アーベおよびコンパウンドでは攻撃者ポジションの清算が実施され、回収された89,567rsETHは復旧対応に利用されたとのこと。

アーベラボによると、5月26日に116,131.72rsETHの補填が完了し、イーサリアム側アダプターにおけるrsETHの裏付け資産は完全に回復したという。

同社は現在、rsETHの出金やブリッジ機能は再開済みであり、WETH関連市場の制限措置も解除されていると報告している。

なおアーベラボによると、今回のインシデント以降、リスク管理担当者はアーベV3全体で約295件のパラメータ変更を実施したとのこと。供給上限や借入上限の見直しを通じて、個別資産へのエクスポージャー削減を進めているという。

画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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