アメリカ大手資産運用企業Vanguard(バンガード)が資産担保証券(ABS)の発行を支援するブロックチェーン技術実証の第一フェーズを完了

アメリカ大手資産運用企業Vanguard(バンガード)が資産担保証券(ABS)の発行を支援するブロックチェーン技術実証の第一フェーズを完了

アメリカ大手資産運用企業Vanguard(バンガード)がテクノロジープロバイダーのSymbiont(シンビオント)と共同で、資産担保証券(ABS)の発行をデジタル化するために設計されたブロックチェーンパイロットシステムの第一段階が完了したことを発表した。

Vanguardこのブロックチェーンパイロットシステムを開発するにあたり、アメリカの大手資産担保証券(ABS)の発行体である、BNY Mellon(BNYメロン)、Citi Bank(シティバンク)、Statestreet(ステートストリート)との緊密な連携をしたとのこと。

そしてVanguardはエンドツーエンドの取引フローを再現することで、分散型台帳技術(DLT)ネットワーク上でのABS決済のライフサイクル全体をモデル化することに成功した。 

Vanguardは、SymbiontのDLTネットワークを活用して現在の資本市場のインフラを変革し、自動化することで市場参加者により良い結果をもたらし、コストを削減することを目指している。このパイロットシステムは、分散型台帳ネットワーク上でのアセット発行をサポートするために不可欠な技術的・運用的基盤を提供するとのことだ。

Vanguardの投資運用フィンテック戦略グループのプリンシパル兼責任者である Warren Pennington(ウォーレン・ペニントン)氏は「Vanguardは金融サービス業界の発展に役立つ革新的で世界レベルのソリューションを提供することに専念しています。ABS発行プロセスをデジタル化して合理化することで、取引のスピードと透明性を高めながら、コストを削減し、リスクへのエクスポージャーを最小限に抑えることができ、最終的には将来の世代の資本市場活動のためのより効率的なビジネスモデルにつながります」とコメントしている。

SymbiontのCEOであるMark Smith(マーク・スミス)氏は「パイロットプログラムが完了したことには大きな意義があります。ABS発行の実証に成功したことは、ブロックチェーン技術によって資本市場のインフラを根本的に変えていく上で重要な一歩です。2020年は市場参加者が初めて生の台帳ベースの発行を目にする年になるかもしれません」とコメントをしている。

編集部のコメント

Vanguardは世界最大級の資産運用会社です。2020年4月30日時点で世界の資産5.7兆ドルを運用しています。

そしてペンシルバニア州バレーフォージに本社を置く同社は、世界中の3000万人以上の投資家に425本以上のファンドを提供しています。 そしてVanguardとSymbiontは2017年12月、データ流通プロセスを簡素化するために提携し、資本市場の改善にブロックチェーン技術を活用してきました。2019年には、VanguardはSymbiontの技術システムを利用して、1.3兆ドル相当のファンドのデータを活用するようになっています。

さらにこのパートナーシップにより、アセットのインデックスデータは1つの分散型データベースを介してインデックスプロバイダーと市場参加者の間で瞬時に移動することが可能になり、結果としてベンチマークのトラッキングが改善され、顧客のコスト削減につながっていたとのことです。

Vanguardは世界有数の資産運用企業で、金融インフラをブロックチェーンシステムに置き換えていくことは、非常に金融業界にとって大きなインパクトがあると考えられます。実際にVanguardは2017年から実証やテストを繰り返してきていて、良い成果を得られているように思われます。5月20日には、世界の金融インフラを構築する米国の預金信託クリアリング機構のDTCC(Depository Trust&Clearing Corporation)が、分散型台帳(DLT)と資本市場の統合を目的とした2つのプロジェクトを稼働させていることを発表しています。

このように金融領域において、システム運用のコスト削減、投資家への収益増加を目的に、ブロックチェーン技術導入の動きは加速してきています。

コメント:竹田匡宏(あたらしい経済編集部)

(images:iStock/Vit_Mar)

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あたらしい経済 編集部

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