イーサリアム財団とバーチャルプロトコル、AIエージェント取引標準「ERC8183」提案

AIエージェント取引の「ジョブ」モデルを定義

イーサリアム財団(Ethereum Foundation)の研究チームのdAIチームと、AIエージェント関連プロジェクトのバーチャル・プロトコル(Virtuals Protocol)が、AIエージェント同士の商取引を想定した新たなイーサリアム標準「ERC-8183(Agentic Commerce)」を共同で提案した。にバーチャル・プロトコル公式Xアカウントより3月10日に発表された。

ERC-8183は、AIエージェントがサービスの依頼や成果物の提出、報酬支払いをブロックチェーン上で実行するためのコマースプロトコルを定義する仕様だ。スマートコントラクトを利用したエスクロー機能により、作業の完了や拒否に応じて報酬支払いまたは返金が行われる仕組みを採用している。

なお同提案は、イーサリアム改善提案(Ethereum Improvement Proposal:EIP)として公開されており、アプリケーションレベルの標準や慣行を扱うイーサリアム標準提案(Ethereum Request for Comments:ERC)に分類される。

ERC-8183では、AIエージェント同士の取引を「ジョブ(Job)」という単位で管理する仕組みが定義されている。ジョブには、仕事を依頼するクライアント、作業を行うプロバイダー、そして成果物を評価するエバリュエーターの3つの役割がある。なお、エバリュエーターは第三者に限らず、クライアント自身でもよい。

クライアントはまずスマートコントラクトに報酬資金を預ける。その後、プロバイダーが作業を実行し成果物を提出する。エバリュエーター(検証・評価者)が成果物を確認し、作業が完了したと判断した場合には、エスクローに預けられた資金がプロバイダーへ支払われる。成果物が拒否された場合や、一定期間内に評価が行われなかった場合には、資金はクライアントに返金される仕組みだ。

またERC-8183では、スマートコントラクトによる拡張機能「フック(Hooks)」も定義されている。フックは取引処理の前後で追加のロジックを実行できる仕組みで、入札形式による仕事発注や評判スコアに基づく参加制限、追加の資金移転を伴うフローなどの機能を追加できるとしている。

さらに同規格は、今年1月にイーサリアム財団が発表したAIエージェントのアイデンティティや評判を管理するイーサリアム標準「ERC-8004」との連携も想定されている。ERC-8183によって実行されたジョブの結果や評価情報をERC-8004に記録することで、エージェントの実績や信頼性をオンチェーンで蓄積できると説明されている。

さらに同規格は、ERC-8004との連携も想定されている。ERC-8183によって実行されたジョブの結果や評価情報をERC-8004側のレピュテーションやバリデーションに結びつけることで、エージェントの実績や信頼性をオンチェーンで蓄積できると説明されている。なおERC-8004は、AIエージェントのアイデンティティや評判を管理するイーサリアム標準だ。2025年8月に作成された提案であり、2026年1月にはdAIチームが解説記事を公開している。

発表では、AIモデルやAIエージェントの能力向上に伴い、エージェントがサービス提供主体として経済活動に参加する可能性が高まっていると指摘されている。そのため、エージェント同士が信頼関係なしに取引できる仕組みとして、オンチェーンのコマースインフラが必要になるとの考えが示されている。

 

参考:EIP
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

渡邉洋輔

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

「あたらしい経済」編集部 記者
ブロックチェーンおよびデジタル資産分野を専門とし情報発信を行っている。オンチェーンデータや流動性構造など、市場設計の観点からのリサーチにも取り組んでいる。

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