テザー、2025年Q4のUSDT市場レポート公表。利用者数・取引量が過去最高水準に

USDTの規模拡大と利用構造がデータで浮かび上がる

ステーブルコイン「USDT」を発行するテザー(Tether)が、2025年第4四半期(Q4)のUSDT市場レポートを2月4日に公表した。同レポートでは、暗号資産市場が調整局面に入る中でも、USDTの保有と利用がともに拡大している実態が示されており、USDTの役割が単なる取引用通貨にとどまらなくなっている状況が、データから浮かび上がっている。

同レポートは、15のブロックチェーン上に存在する75種類のステーブルコインに関するオンチェーンデータをもとに分析されたものだ。データはオンチェーン分析サービスの「チェーンアナリシス(Chainalysis)」および「アルテミス(Artemis)」から提供されている。

まず、USDTの時価総額はQ4末時点で1,873億ドル(約29.3兆円)となり、四半期で124億ドル(約1.9兆円)増加した。推定利用者数は約5億3,000万人に達し、8四半期以上にわたって四半期ごとに3,000万人超の増加が続いているという。また、オンチェーン上でUSDTを保有するウォレット数は1億3,910万となり、過去最大の四半期増加を記録した。

次に、準備資産の拡大も続いている。テザーの総準備資産はQ4に117億ドル(約1.8兆円)増加し、1929億ドル(約30.3兆円)となった。内訳には、96,184BTCのビットコイン(BTC)や、127.5トンの金(ゴールド)が含まれている。また、米国債へのエクスポージャーは1416億ドル(約22兆円)に達しており、テザーは、仮に国家として比較した場合、米国債保有国ランキングで18位相当になる水準だと説明している。

一方、2025年10月に発生した暗号資産市場の大規模な清算局面以降、暗号資産市場全体の時価総額は大きく減少している。そうした環境下においてもUSDTの供給量が増加を続けている点は、USDTの需要が暗号資産市場内部の投機的な動きだけに依存していない可能性を示している。

特に注目されるのが、USDTの保有構造だ。Q4末時点でUSDT残高の約36%は中央集権型取引所(CEX)に保有されている。一方で、受け取ったUSDTを比較的長期間保持する「セーバー系」のウォレットが約33%を占め、送金や決済などに用いられる「送信主体」のウォレットは約26.5%となっている。

この分布からは、USDTが取引所内の流動性確保に用いられる一方で、一定量がすぐに移動しない形で保有されている構造が読み取れる。USDTは短期的な売買を前提とした通貨というよりも、価値を一時的に退避・保存する手段としても選択されている状況にあるとみられる。

それでもUSDTの活動が鈍化しているわけではない。Q4におけるUSDTのオンチェーン取引総額は4.4兆ドル(約688兆円)に達し、過去最高水準を更新した。これは、USDTが保有残高を積み上げながらも、決済や送金といった用途では引き続き主要な手段として機能していることを示している。

実際、USDTは単一資産によるオンチェーン取引において、ステーブルコイン全体の中で最も大きな取引額シェアを維持している。テザーは、USDTが「価値を保存する用途」と「価値を移転する用途」の双方で利用されている点を強調している。

こうしたデータを総合すると、USDTは投機的な通貨というよりも、「大量に保有されつつ、必要な場面では高い流動性を維持して利用される基軸的なデジタルドル」としての性格を強めているように見える。暗号資産市場の変動が続く中で、USDTがどのような役割を担い続けるのか、その構造的な位置付けは今後も注視されることになりそうだ。

2025年Q4のUSDT市場レポート主要データ

・USDT時価総額:1,873億ドル(前四半期比+124億ドル)
・テザー総準備資産:1,929億ドル(前四半期比+117億ドル)
・純資産(資産−負債):63億ドル
・米国債エクスポージャー:1,416億ドル
 (※国家比較では米国債保有国ランキング18位相当)
・ビットコイン保有量:96,184BTC(Q4中に9,850BTC増加)
・金(ゴールド)保有量:127.5トン(Q4中に21.9トン増加)
・推定USDT利用者数:5億3,450万人(Q4中に+3,520万人)
 (※30四半期以上連続で四半期3,000万人超増加)
・オンチェーンUSDT保有ウォレット数:1億3,910万
 (※過去最大の四半期増加)
・USDTオンチェーン月間アクティブユーザー数(平均):2,480万
 (※ステーブルコイン全体の68.4%を占める)
・USDTオンチェーン取引総額(Q4):4.4兆ドル(過去最高)
・USDTオンチェーン取引件数(Q4):22億件
 (※うち約88%が1,000ドル未満の取引)
・USDT残高の保有構造(Q4末)中央集権型取引所(CEX):約36%・セーバー系ウォレット:約33%・送信主体ウォレット:約26.5%
・USDTのオンチェーン平均ベロシティ(Q4平均):28%

参考:テザー
画像:PIXTA

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