メタマスク、最大1万ドル補償の有料サービス「トランザクション・シールド」開始

メタマスクが対象取引の損失を月1万ドルまで補償

暗号資産(仮想通貨)ウォレット「メタマスク(MetaMask)」を提供するコンセンシス(Consensys)が、対象となる取引の損失を補償する有料サービス「トランザクション・シールド(Transaction Shield)」の早期アクセス提供を開始したと12月2日に発表した。

同サービスでは、メタマスク側が安全と判断した取引について、補償申請1claim(請求)あたり最大1万ドル(約155万円)までの損失補償が受けられるという。月間最大100件の対象トランザクションに対し補償を提供する「トランザクション・プロテクション(Transaction Protection)」と、24時間365日の優先サポートが含まれる。利用料金は月額9.99ドル(約1,500円)、または年額99ドル(約1万5,000円)。14日間の無料トライアルが用意されており、年額プランを選択した場合は20ドル分が割引される。

メタマスクは従来からすべてのユーザーを対象に、トランザクションのシミュレーションやコントラクトの安全性チェック、トークン挙動や過去実績の確認を行っている。また悪意あるドメインや新たな脅威をリアルタイムで特定し、ブロックする機能も提供している。これらの結果、メタマスクが「安全ではない」と判断した取引については、利用者に警告が表示される。

今回提供が始まったトランザクション・プロテクションは、こうしたセキュリティチェックを通過し、アプリ内で「安全(Protected)」と表示された取引に対して、資産損失を補償するオプションとなる。メタマスクは「厳格なチェックを通過した取引を『安全』とみなし、その範囲で最大1万ドルまでの損失をカバーする」と説明している。加入者には、対象取引であることがウォレット内で明示的に表示される。

同サービスは現時点ではブラウザ拡張版メタマスクで提供されており、モバイル版への対応は今後開始される予定だ。対象チェーンはイーサリアム(Ethereum)、リネア(Linea)、アービトラム・ワン(Arbitrum One)、アバランチ(Avalanche)、オプティミズム(Optimism)、ベース(Base)、ポリゴンPoS(Polygon PoS)、BSC(BNB Smart Chain)、セイ(Sei)、ゾラ(Zora)、ノーシス(Gnosis)、スクロール(Scroll)、ブラスト(Blast)、セイ(Sei)など複数にわたる。

一方で、トランザクション・プロテクションには補償対象外となるケースも明示されている。具体的には、フィッシングやマルウェア、シークレットリカバリーフレーズの流出・盗難、不適切な鍵管理などによる「ウォレット自体の侵害」に伴う損失は対象外となる。また取引が仕様どおりに実行された場合でも、トークン価格の下落や流動性不足により生じた損失など「投機的・経済的な損失」も補償されない。さらにメタマスクの管理範囲外にある分散型プロトコルやスマートコントラクトのハッキング、脆弱性による損失も対象外としている。そのため、補償の請求については審査される。

参考:メタマスク
画像:iStocks/agsandrew

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