米CFTC、デリバティブ市場でトークン化担保利用を推進。ステーブルコインも対象に

米CFTCが新イニシアチブ発表

米商品先物取引委員会(CFTC)が、デリバティブ市場におけるステーブルコインを含むトークン化担保の利用に関するイニシアチブを開始すると9月23日に発表した。

この動きは、CFTCが推進する「クリプト・スプリント(Crypto Sprint)」の一環だ。

CFTCのキャロライン・D・ファム(Caroline D. Pham)代理委員長は、「市場の声は明確だ:トークン化された市場は既に到来し、それが未来である。長年、担保管理こそが市場におけるステーブルコインの『キラーアプリ』だと主張してきた。ステーブルコインを含むトークン化担保の利用を可能にするため、関係者と緊密に連携する本イニシアチブの開始を発表できることを嬉しく思う」とコメントしている。

また、今回の発表には、コインベース(Coinbase)、クリプトドットコム(Crypto.com)、リップル社(Ripple)、サークル社(Circle)、テザー社(Tether)の代表者による声明も掲載されている。

コインベースのインスティテューショナル・プロダクト担当副社長であるグレッグ・タサー(Greg Tusar)氏は、「GENIUS法の下でステーブルコインが規制される今、米国がトークン化イノベーションの最前線に留まり続けることが今まで以上に重要になる」と述べた。

なおジーニアス(GENIUS)法は、今年7月に米国で法律化された主要なステーブルコイン規制法だ。

テザー社のCEO、パオロ・アルドイノ(Paolo Ardoino)氏は、「ステーブルコインを米国市場インフラの一部として認める決定は、米国のグローバル金融におけるリーダーシップ強化と市場競争力の維持に向けた重要な一歩だ」と述べている。

またCFTCは10月20日まで、デリバティブ市場における「トークン化された担保の利用」に関するパブリックコメントを業界関係者から募集している。

CFTCはクリプト・スプリント発表以降、PWGの報告書に基づく推奨事項を実行に移す動きを見せている。具体的には、DCM(Designated Contract Market)での現物暗号資産契約取引解禁に向けた施策を進めているという報道がある。また、8月末には、米国外で運営される取引所が米国居住者にアクセスを提供する際の登録枠組みに関する指針(FBOT advisory)を公表していた。今回の発表は、CFTC が資本市場をモダン化し、暗号資産企業向けに明確な指針を与えようとする姿勢を再確認するものと言える。

参考:発表
画像:iStock/ Svetlana-Borovkova・YayaErnst・JHVEPhoto

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

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