韓国、非営利団体と取引所の暗号資産売却を6月から許可へ

非営利団体と取引所に現金化の道開かれる

韓国金融サービス委員会(FSC)が、非営利団体と暗号資産(仮想通貨)取引所が保有する暗号資産の売却を6月より許可する方針を5月2日に発表した。

これにより、非営利団体は寄付で受け取った暗号資産が売却できるようになり、取引所は暗号資産で受け取った手数料を現金化できるようになる。

発表によれば、この方針は5月1日に政府ソウル庁舎にて開催された第4回「暗号資産委員会」会議にて確定したという。

この会議では、非営利法人および取引所の暗号資産売却ガイドライン制定案を最終確定したほか、暗号資産市場の不安定性を招く「ゾンビコイン」、「ミームコイン」などに対する取引支援基準を強化するために「取引支援模範事例」改正案に対する議論も進行した。

売却ガイドラインについて

今回の会議では、それぞれの暗号資産売却に関するガイドラインについても話し合われた。

非営利団体が暗号資産を売却するための要件としては、「少なくとも5年間の監査済み財務履歴」を有することが明記された。また寄付資産の適正な管理体制として、各団体内に「寄付審査委員会(仮称)」を設置し、寄付の受領可否や現金化計画について事前に審議するプロセスが義務付けられる。

また売却可能な暗号資産についても一定の条件が設けられた。対象となるのは、韓国ウォン建て取引所で3ヶ所以上に上場されている暗号資産に限定された。これには、ボラティリティの高い資産の流入を防ぐ狙いがある。

さらに、寄付を受けた暗号資産については「受領即時現金化」が原則とされ、資産価値の変動リスクを最小限に抑える設計がなされている。

マネーロンダリング対策としては、取引目的や資金源泉に関する確認及び検証の強化が打ち出され、国内ウォン取引所のアカウントを通じた寄付と移転のみを許容する方針だ。これにより、銀行・取引所・団体がそれぞれ重層的な顧客確認を行う体制が構築される。

また取引所のガイドラインでは、売却目的を「運営経費の充当」に限定。暗号資産市場への影響を最小限に抑える措置として、売却対象資産は国内の主要5取引所で時価総額上位20銘柄に絞られた。

売却実施にあたっては、「一日あたりの売却量は全体予定量の10%以内」とする制限が設けられたほか、自己取引所での売却は原則禁止された。これにより、取引所自身による価格操作のリスクや利用者との利害衝突を回避する狙いだ。

また、マネーロンダリング防止の観点から、売却に関する理事会決議や事前の公示義務、売却結果や資金の使途に関する事後報告も義務化される予定だ。

またFSCは、「ゾンビコイン」や「ミームコイン」といった、実態が不明瞭な銘柄に対する上場基準の強化も目指す方針だ。今回の方針により、取引所は取引支援基準の改正を求められるようになる。

参考:発表
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【6/20話題】160億件のログイン情報流出か、クラーケンがビットコインステーキング提供など(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

米ナスダック上場LGHL、「HYPE」トレジャリー戦略で6億ドル調達。東証とSGX上場も検討

米証券取引所ナスダック(Nasdaq)上場の金融デリバティブ取引を扱う証券会社ライオングループホールディング(Lion Group Holding:LGHL)が、米投資会社ATWパートナーズ(ATW Partners)から6億ドル(約872億円)のファシリティ(資金調達枠)を確保したと6月18日に発表した