IMFが14億ドル支援進捗を報告
国際通貨基金(IMF)が、「西半球局、2025年春会合」のブリーフィングを4月26日発表した。その中でIMFは、エルサルバドル共和国との14億ドル(約2,203億円)に及ぶ資金調達協定の経過を報告している。
「西半球局、2025年春会合」ではラテンアメリカ・カリブ地域の経済回復力強化をテーマに話が進められた。IMFは、世界情勢の不確実性が同地域の成長を抑制していることを認めながら、堅固なマクロ政策を守り、経済耐性を高めることが同地域にとって不可欠との姿勢を示している。
その中でIMFは、エルサルバドルと実施中の40カ月間・総額14億ドルの支援プログラムについて、エルサルバドルが新たにビットコインを積み増さない義務を順守していることを報告。
またIMFは、エルサルバドルの支援プログラムはビットコイン問題に限定されるものではないと強調し、構造改革の推進、ガバナンスの透明化及び強化、財政の健全化を目指しており、民間投資の拡大と経済成長の強化へ向けた基盤の立て直しをテーマにしていると述べた。
さらにIMFは現在、プログラムの第1回目のレビューを準備中であることも報告している。
IMFとエルサルバドルは昨年12月、IMFから融資を受ける代わりに、エルサルバドルのビットコインの利用拡大策の見直し、およびエルサルバドルの公式デジタルウォレット「チーボ(Chivo)」への関与の段階的な取りやめについて合意していた。
また今年3月、IMFはエルサルバドルに対し、プログラムの一環として強化措置を求めた。その中でIMFは、エルサルバドルによるビットコイン購入を制限することを要求し、政府機関によるビットコインの新規取得を禁止。プログラム期間中は「取得上限0」が継続して設定された。また、2025年7月までに政府保有のビットコイン信託(Fidebitcoin)の清算と、エルサルバドルの公式デジタルウォレット「チーボ(Chivo)」システムへの政府の公的関与終了が義務化された。さらに政府保有のビットコイン・ウォレット・アドレスのすべてを公開すること、「チーボ」ユーザーの資金の分離、暗号資産(仮想通貨)関連事業体の監査済み財務諸表の公開を求めていた。
エルサルバドルは2021年9月に世界で初めてビットコインを法定通貨として採用。ビットコインには金融と法律の両面でリスクがあるとするIMFとの間で摩擦が生じていた。
参考:IMF
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