IMF、エルサルバドルへ融資条件にBTC購入の制限要求。大統領は継続の意思示す

新たな協定を要請

国際通貨基金(IMF)が、エルサルバドル共和国との14億ドル(約2,203億円)に及ぶ資金調達協定の一環として、新たな協定の要請を3月3日発表した。そのなかでIMFは、エルサルバドルによるビットコイン購入を制限することを要求している。

今回発表された要請は、スタッフステートメントの更新やエルサルバドル担当の執行理事による声明を含む複数の文書によって構成されている。

ナイジェル・クラーク(Nigel Clarke)副専務理事兼IMF理事会議長代理は声明の中で、「今後、プログラムのコミットメントは、ビットコイン関連の経済活動への政府の関与、およびビットコインの政府取引と購入を制限する」と述べた。

また今回の発表では、複数の重要な要件も提示された。

まず「継続的な量的パフォーマンス基準」により、政府機関によるビットコインの新規取得は禁止され、プログラム期間中は「取得上限0」が継続して設定されるという。

また新たな取り決めでは、2025年7月までに政府保有のビットコイン信託(Fidebitcoin)の清算と、エルサルバドルの公式デジタルウォレット「チーボ(Chivo)」システムへの政府の公的関与終了が義務付けられている。

さらに政府保有のビットコイン・ウォレット・アドレスのすべてを公開すること、「チーボ」ユーザーの資金の分離、暗号資産(仮想通貨)関連事業体の監査済み財務諸表の公開を求めている。

IMFからの新たな要求が行われた後、エルサルバドルのナジブ・ブケレ(Nayib Bukele)大統領は、同国のビットコイン購入は停止しないとXにて表明し、同国がビットコインの購入をやめるとの憶測を否定した。

ブケレ大統領は3月5日、「世界が私たちを追放し、ほとんどの『ビットコイナー』が私たちを見捨てたときに止まらなかったのなら、今も止まらないし、これからも止まらないだろう」と述べている。

IMFとエルサルバドルは昨年12月、IMFから融資を受ける代わりに、エルサルバドルのビットコインの利用拡大策の見直し、および「チーボ」への関与の段階的な取りやめについて合意していた。

エルサルバドルは2021年9月に世界で初めてビットコインを法定通貨として採用。ビットコインには金融と法律の両面でリスクがあるとするIMFとの間で摩擦が生じていた。

そして今年1月31日には、エルサルバドルの法改正によりビットコインは法定通貨ではなくなった。

参考:IMF
画像:Reuters

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