SNB総裁がビットコイン準備資産化に否定的見解
スイス国立銀行(Swiss National Bank:SNB)のマルティン・シュレーゲル(Martin Schlegel)総裁が、暗号資産(仮想通貨)は同銀行の通貨準備基準を満たしていないと述べ、暗号資産推進派が主張する「世界経済リスクへのヘッジとしてビットコイン(Bitcoin)を保有すべきだ」とする提案を4月25日に退けた。
暗号資産推進派は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領による関税政策が引き起こした経済混乱を受け、中央銀行が準備資産の多様化を図るべきだとして、SNBに対しビットコイン購入を求める圧力を強めている。
推進派はスイス憲法を改正し、SNBに金(ゴールド)と並んでビットコインを準備資産として保有することを義務付けるための国民投票運動を開始した。
しかしシュレーゲル氏は、スイスの首都ベルンで開催されたSNBの株主総会にてこの提案を拒否した。
「暗号資産は現在、我々の通貨準備の要件を満たせない」と同氏は述べた。
同氏は、中央銀行が常に外貨の売買ができる必要があるため、市場流動性が一つの懸念事項であると指摘した。
また、暗号資産は一般的に「非常に非常に高い」価格変動を示すことが多く、SNBの通貨準備資産としての価値維持能力に疑問を投げかけるとシュレーゲル氏は述べた。
この発言は、ビットコイン国民投票運動を主導しているルジウス・マイサー(Luzius Meisser)氏が、総会で「ビットコインは『特別な資産』であり、伝統的な国債に代わる貴重なオルタナティブである」と主張した後に行われた。
マイサー氏は「通常のシナリオにおいてはビットコインの価値はあまり高くないかもしれないが、複数極化した世界秩序と政府債務への信頼が薄れる特定のシナリオにおいては、ビットコインは非常に大きな価値を持つだろう」と述べた。
※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Swiss National Bank chairman rebuffs bitcoin as reserve asset
(Reporting by John Revill; Editing by Joe Bavier)
翻訳:大津賀新也(あたらしい経済)
画像:Reuters