Mantle、Bybitから不正流出の42Mドル分のcmETHを回収

Mantleが不正流出被害を受けた4200万ドル分の資産を回収

Mantle(マントル)が、2月21日に発生した海外大手暗号資産(仮想通貨)取引所Bybit(バイビット)のハッキング被害で不正流出した資産のうち、約4,200万ドル(約63.2億円)相当の資産を24時間以内に回収したことが2月26日に発表された。なお回収されたのは、被害を受けた資産のうち、Mantleが発行しているリキッドリステーキングトークン「cmETH」だ。

Mantleは、レイヤー2ブロックチェーン「Mantle Network」を基盤にした、DAOによるガバナンスやトレジャリーを含めたWeb3エコシステム。同エコシステムでは、同ネットワークのガストークンおよびガバナンストークン「MNT」が発行されている他、イーサリアム(ETH)のリキッドステーキングおよびリステーキングプラットフォーム「mETH Protocol」を提供している。「cmETH」はこの「mETH Protocol」で発行された「mETH」をリステーキングすることで得られるトークンだ。

なおBybitからは約401,346ETH、90,375stETH、90USDT、15,000cmETH、8,000mETHが流出しており、Mantleは、このうち「cmETH」を全て回収している。「mETH」については、回収前にDEXのUniswap(ユニスワップ)が用いられ「stETH」にスワップされており、回収できていない。

Mantleの発表によると、今回のハッキング被害の原因となったマルチシグウォレットの「Safe{Wallet}(セーフウォレット)」が一時的にサービスを停止ししていたため、回収チームはEthereum(イーサリアム)のエクスプローラー「Etherscan(イーサスキャン)」を利用してコントラクトを手動で呼び出すことで資金を回収したという。

この作業には、SEAL911(シール911)、Hexagate by Chainalysis(ヘキサゲートバイチェイナリシス)、Blocksec(ブロックセック)などを含めたいくつものセキュリティパートナーの協力があったとのこと。また「Etherscan」や「Chainalysis」、「Arkham Intelligence(アーカムインテリジェンス)」などのインフラアプリの活用により、資金の移動を容易に追跡できるようにするだけでなく、タグ付け機能などにより作業時間が大幅に短縮されたと語っている。

なお今回のハッキング事件を受け、Mantleはブロックチェーン業界が抱えるセキュリティ上の課題にも触れており、悪意のあるアカウントのブラックリスト化や資産移動の凍結、レイヤー2ロールアップ・アーキテクチャの活用といった技術的な指摘だけでなく、運用上の改善点としてハードウェアウォレットの設定最適化やマルチシグ自体の分離などを推奨している。

参考:Mantleブログ
画像:PIXTA

関連ニュース

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

合わせて読みたい記事

【4/23話題】キャンターがSBやテザーらとビットコイン投資会社を設立か、トランプ大統領のメディア企業がETFを年内ローンチへなど(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored

シンガポール証券取引所、「ビットコイン無期限先物」を今年後半に提供へ=報道

シンガポール最大の取引所グループであるシンガポール証券取引所(SGX)が、暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を対象としたパーペチュアル(無期限先物)型のデリバティブ取引を今年の後半にも提供するようだ。メディア「ザ・ビジネス・タイムズ(The Business Times)」が4月21日に報じた

Charles Schwab、「ビットコイン現物取引」を26年4月に開始へ=報道

米大手金融サービス企業チャールズシュワブ(Charles Schwab)CEOリック・ワースター(Rick Wurster)氏が、2026年4月中旬までに暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)の現物取引を、同社プラットフォーム上で提供開始する計画を明らかにした。米金融メディア「リアビズ(​RIABiz)」が4月19日に報じた

米大手金融キャンター、ソフトバンクやテザーらと30億ドル規模のビットコイン投資会社を設立か=報道

米金融大手キャンター・フィッツジェラルド(Cantor Fitzgerald)が、ソフトバンク(SoftBank)、テザー(Tether)、ビットフィネックス(Bitfinex)と提携し、ビットコインの投資会社を新たに設立する計画を進めていると「英フィナンシャルタイムズ(Financial Times)FT」が関係者からの情報として4月23日に報じた

トランプ大統領のメディア企業、Crypto[.]comらと正式提携でETFを年内ローンチへ

トランプメディア&テクノロジーグループ(Trump Media and Technology Group Corp:TMTG/Nasdaq: DJT)が、上場投資信託(ETF)および上場投資商品(ETP)の立ち上げに向け、海外暗号資産(仮想通貨)取引所クリプトドットコム(Crypto.com)および米資産運用会社ヨークビルアメリカデジタル(Yorkville America Digital)との間で拘束力のある契約を締結したと4月22日に発表した

【4/22話題】ストラテジーが約5.5億ドルでビットコイン追加購入、イーサリアム財団が研究開発の優先順位を見直しなど(音声ニュース)

ブロックチェーン・仮想通貨(暗号資産)・フィンテックについてのニュース解説を「あたらしい経済」編集部が、平日毎日ポッドキャストでお届けします。Apple Podcast、Spotify、Voicyなどで配信中。ぜひとも各サービスでチャンネルをフォロー(購読登録)して、日々の情報収集にお役立てください。

Sponsored