Arbitrum Oneとゼロ知識証明の「BOS」統合へ、ビットコインとイーサリアム間のブリッジ実現に向け

Arbitrum OneとBOSが統合へ

イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2スケーリングソリューションである「アービトラムワン(Arbitrum One)」と、ビットコイン(Bitcoin:BTC)上でゼロ知識証明(ZKP)技術を活用したシステム「ビットコインオーエス(BitcoinOS:BOS)」の統合が進められている。「BOS」の公式SNSより2月5日発表された。

「BOS」は、ゼロ知識証明(ZKP)技術を活用して、ビットコイン上に異なるレイヤー1ブロックチェーンをロールアップとして統合するプラットフォーム。同プラットフォームは昨年10月に、レイヤー1ブロックチェーン「カルダノ(Cardano)」との統合を進めると発表していた。

なおロールアップとは、元となるブロックチェーンのセキュリティなどを活用しながら、ガス代(ネットワーク手数料)やネットワークの混雑解消を図るスケーリング技術のことである。

今回の統合では、ビットコインのセキュリティとイーサリアムのスケーラビリティを組み合わせ、両チェーン間の相互運用性が強化されるとのこと。また統合が完了されれば、「アービトラムワン」はビットコインとイーサリアムの両ネットワークで動作するハイブリッドロールアップとして機能するという。

そのうえで「アービトラムワン」は、ビットコインの流動性プールをイーサリアム上のDeFiや、スマートコントラクトアプリと直接連携できる環境構築を目指すとのこと。

さらに「BOS」のゼロ知識証明が活用されることで、ビットコインとイーサリアムの両ネットワークでトラストレスなBTCブリッジと、BTC取引におけるファイナリティ(最終確定時間)の保証が可能になるという。

なおBTCブリッジは、「BOS」のブリッジ機能「グレイル(Grail)」を介して実現されるとのこと。「グレイル」は、ビットコインのメインチェーン(レイヤー1)とロールアップ(レイヤー2)の間で資産を転送するブリッジとして機能する。

これまでビットコインとイーサリアム上のDeFi(分散型金融)やスマートコントラクトアプリケーションは分断されていたが、ラップドビットコイン(Wrapped Bitcoin:WBTC)を通じて12万9,000BTC(約1.9兆円)以上がイーサリアム上のDeFiエコシステムに取り込まれているという。また、「アービトラムワン」を展開するアービトラム(Arbitrum)上のWBTCの保有量は、今回の発表時点で約8,333BTC(約1,240億円)に達しているとのこと。

しかしWBTCは、カストディアン(管理者)がBTCを保管し、その代わりにイーサリアム規格のERC-20トークンとして発行される仕組みであるため、中央集権的なリスクが伴うとされている。

一方「グレイル」では、ノンカストディアル(非管理/自己管理型)かつトラストレスな形でBTCをブリッジできるとのこと。これにより、従来のカストディ型ソリューションと比べて、カウンターパーティリスク(取引相手の信用リスク)を大幅に削減し、BTCの流動性を活用できるようになるという。

さらに「アービトラムワン」は「グレイル」を活用することで、従来の「オプティミスティックロールアップ(Optimistic Rollups)」における7日間の引き出し待機期間を回避できるとのこと。これによりユーザーは、「アービトラムワン」とビットコイン間で資産をほぼ瞬時にブリッジできるようになるという。

これらの結果、長期間にわたりBTCを大量に保有し続けていた大口保有者(クジラ)のBTCが、DeFiエコシステムへと流れ込みやすくなると発表にて説明されている。

アービトラムとは

アービトラムはイーサリアム(Ethereum)のレイヤー2スケーリングソリューション。同ネットワークでは、「オプティミスティックロールアップ(Optimistic Rollups)」を採用することでイーサリアムの安全性を保ちつつオフチェーンでの高速処理を実現している。

なおアービトラムでは、「アービトラムワン(Arbitrum One)」および「アービトラムノヴァ(Arbitrum Nova)」の2つのネットワークを展開している。

「アービトラムワン」はアービトラムのパブリックなメインネットであり、誰でもバリデーターになれる仕組みとなっている。一方で「アービトラムノヴァ」は選定されたバリデーターのみが参加する許可型のメインネットとなっており、厳密な分散性を達成することはできないが、その分低い手数料での利用を可能にしている。

そのような特性から「アービトラムワン」はDeFi(分散型金融)及びNFT向けチェーン、「アービトラムノヴァ」はゲーム及びソーシャルアプリに特化したチェーンとして取り扱われるケースが多い。

参考:BitcoinOS
画像:PIXTA

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この記事の著者・インタビューイ

一本寿和

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

「あたらしい経済」編集部
記事のバナーデザインを主に担当する他、ニュースも執筆。
「あたらしい経済」で学んだことを活かし、ブロックチェーン・NFT領域のバーチャルファッションを手がけるブランド「JAPAN JACKET」を2021年10月より共同創業。

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