暗号資産取引所Phemex、不審な取引により出金一時停止

Phemex、出金を一時停止

暗号資産(仮想通貨)取引所フィーメックス(Phemex)のシステムで、複数のチェーンにわたる顧客のホットウォレットに関連する不審な取引が検出されたという報告を受け、1月23日に出金を一時停止したことが公式Xアカウントにて報告された。

セキュリティ会社のサイバーアラート(Cyvers Alerts)によると、BNB、ETH、OP、POL、BASE、ARBなどのチェーン上の不審なアドレスによって、2,900万ドル相当のデジタル資産が転送されたとのこと。またこれらのアドレスは盗んだ資産をETHにスワップし始めているという。さらにその後のサイバーアラートの投稿では、BTCとTRONの両方のブロックチェーンも影響を受けており、推定総損失額は約3,700万ドルに達していることが、さらなる分析で明らかになったと述べられている。

またブロックチェーンセキュリティおよびデータ分析会社のペックシールド(PeckShield)の公式Xアカウントの投稿では、約6,910万ドル相当の暗号資産の損失があったと報告されている。

フィーメックスの公式アカウントでは同日、「セキュリティ確保のため、緊急点検とウォレットサービスの強化を行う間、出金を一時停止しております。ご不便をおかけして誠に申し訳ございません。出金はまもなく復旧いたします」との投稿があった。今回の件に対する補償プランも計画中で、近日中に発表されるとのこと。

またフィーメックスのCEOであるフィデリコ・バリオラ(Federico Variola)氏は、「ホットウォレットの1つに関するレポートを調査中ですが、コールドウォレットは安全だ」と投稿し、フィーメックスのデリバティブ取引所のウェブサイトを通じて誰でもウォレットの安全性が保たれていることを確認できると伝えている。

バリオラ氏はその後Xアカウントにて、24日にUSDTとUSDCの出金は段階的に復旧し、26日にすべての失敗したトランザクションを処理し、いくつかのチェーンのサポートを追加したことを報告した。 ・またフィーメックスのX公式アカウントでも26日に「アービトラムワン(Arbitrum One)、オプティミズム(Optimism)、バイナンススマートチェーン(Binance Smart Chain:BSC)、ポリゴン(Polygon)、ベース(BASE)チェーンでの入出金が再開されましたのでお知らせいたします」と投稿されている。

なお、まだ入金されていないトランザクションがある場合は、ライブチャットでカスタマーサポートに問い合わせできるとのこと。またフィーメックスはいくつかのサードパーティと協力して、システムが安全であることを証明するとのことだ。

 

画像:iStocks/Molnia

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この記事の著者・インタビューイ

田村聖次

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
SNSでは、チェコ人という名義で、ブロックチェーンエンジニアや、マーケターとしても活動している。「あたらしい経済」の外部記者として記事の執筆も。

和歌山大学システム工学部所属
格闘技やオーケストラ、茶道など幅広い趣味を持つ。
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