香港金融管理局、ステーブルコイン発行体に対しライセンス取得義務付けを提案

ライセンス取得義務付けを提案

香港金融管理局(HKMA)はステーブルコイン発行体に対し、ライセンス取得を義務付けしたいようだ。同機関と金融サービス・財務局(FSTB)が共同で公開したコンサルテーションペーパーにて12月27日提案されている。

コンサルテーションペーパーの中で両局は、ステーブルコイン発行体に対し、「香港の1つ以上の法定通貨の価値に連動するステーブルコインを発行する場合」は、HKMAから認可を受ける義務があると述べている。

また両局は同提案において、ライセンスを取得した発行体は香港で法人化され、スタッフが常駐すべきだとし、適切な保管体制の維持や流動性の高い予備資産の保有を行う等、安定した運営体制を整える義務があると強調している。

またコンサルテーションペーパーでは、ステーブルコインに対する規制に必要な権限をHKMAに与えることも提案された。

2022年に起きたテラUSDの破綻などを例に挙げ、ステーブルコイン発行者の債務不履行や破綻が金融システムに与える潜在的な影響を鑑み、適切なセーフガードを設けるとして「状況が許す限り、(HKMAに)ライセンス取得事業者の業務に介入する権限を与えることを提案する」と述べている。

なお同提案へのフィードバックは2月29日まで受け付けられている。

またHKMAは、ステーブルコイン発行体へ向けた規制上の「サンドボックス」を展開する予定であり、近日中に詳細を発表するとのこと。

なおサンドボックスとは、新しいビジネスモデルやテクノロジーをテストするための安全な枠組みのことだ。

金融サービス・財務担当の陳浩然(チャン・ハオイェン)次官は11月、香港フィンテック・ウィーク(Hong Kong FinTech Week)にて、HKMAが暗号資産取引の監督範囲を暗号資産プラットフォーム以外にも拡大させる意向であり、ステーブルコイン発行者の規制制度に関しては財務局と香港金融管理局が共同で指令書を発行する予定だと述べていた。

また同氏は、多くの欧州企業が香港での拠点設立に関心を寄せていることにも言及。香港の暗号資産に関する監督状況は非常に明確であるため、同地区が安全に事業展開ができる土壌であることをアピールしていた。

関連ニュース

参考:コンサルテーションペーパー
iStocks/Who_I_am・Alex-Sholom

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

パクソス、「Arbitrum One」でステーブルコイン発行へ。イーサL2は初

ステーブルコイン発行会社パクソス(Paxos)が、イーサリアム(Ethereum)のレイヤー2スケーリングソリューション「アービトラムワン(Arbitrum One)」上で、ステーブルコインを発行予定であることを9月10日発表した。パクソスによる「アービトラムワン」対応は初のレイヤー2チェーン展開となる

【9/13話題】DCJPYのディーカレットが63.49億円調達、Swiftがトークン化された証券取引のテスト計画など(音声ニュース)

デジタル通貨「DCJPY」のディーカレット、13社から63.49億円調達。新株主に8社、Swift、トークン化された証券取引のテスト計画を発表、国内ライトニングネットワーク企業Nayuta、事業終了へ、eToroが米SECと和解。ほぼ全ての暗号資産取引を停止へ、コインベース、ラップドビットコイン「cbBTC」をBaseとEthereum上に展開、ロシア、来年7月までに「CBDC」普及目指す計画。中銀が発表、BitGoが「WBTC」をアバランチとBNBチェーンで展開、レイヤーゼロのOFT標準採用で、データ分析会社Nansenがステーキングサービス「Stakewithus」買収、20種類以上の暗号資産に対応、インドネシアの取引所「Indodax」、ハッキング被害で約31億円相当流出

Sponsored

コインベース、ラップドビットコイン「cbBTC」をBaseとEthereum上に展開

米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベース(Coinbase)が、ラップドビットコイン「cbBTC(Coinbase Wrapped BTC)」を、ベース(Base)とイーサリアム(Ethereum)上で展開したことを9月12日発表した。なおベースは、コインベースが開発・運営するイーサリアムのレイヤー2ネットワークだ