英FCA、暗号資産プロモーション規制のガイダンス発表

コンプライアンスサポートのため設計

英国の規制当局である金融行為監督機構(FCA)が、暗号資産(仮想通貨)に関するプロモーション規制についてのガイダンスを11月2日発表した。

同ガイダンスでは、10月8日に施行された金融プロモーション制度の説明と承認に関する情報が提供されている。

なお同ガイダンスは6月から8月にかけてFCAによるコンサルテーションを受けたものだ。ガイダンスはすべての適格暗号資産に適用される。

FCAの消費者投資担当ディレクターであるルーシー・キャッスルダイン(Lucy Castledine)氏は「英国の消費者に暗号資産を販売する企業に対する新ルールは、他の高リスク投資に対する既存のルールに沿ったものだが、私たちは業界と幅広く関わり、暗号資産企業のコンプライアンスを特にサポートするためにこのガイダンスを設計した」と述べている。

ガイダンスでは、英国ユーザーへの販売促進に関するコミュニケーションに対し、適切なリスク警告を含めることを企業に求めている。また、情報の正確さを追及するために販売促進資料の主張を裏付ける証拠が必要だと伝えている。

また商品や資産を裏付けとする暗号資産を宣伝する企業へは、その裏付けを証明する十分かつ明確な証拠を保持することも求められる。

具体的には裏付け資産の所有権の証明や、保管人の証拠、保管場所を含む原資産保管契約の詳細、消費者へ向けた明確な償還条件、発行会社などの情報だ。

また同ガイダンスでは、貸し借りに関連する宣伝については、具体的なリスクの開示を推奨。複雑な利回りモデルについては、潜在的な収益率について明確な根拠を示す必要があるとした。

FCAはまた、企業に対し、宣伝している暗号資産とサービスの両方についてデューデリジェンス(適正評価手続き)を実施する必要があるとしている。これには、暗号資産が詐欺行為に関連していないことを確認することなどが含まれる。

暗号資産マーケティングの規制について

暗号資産マーケティングに関する金融プロモーション規制の対象範囲は英国ユーザーに暗号資産関連サービスを提供している企業・ソーシャルメディア・インフルエンサーであり、国内企業にとどまらず、海外企業も含まれる。

具体的には「友達紹介」ボーナスなどの暗号資産への投資インセンティブが禁止され、そういった資産を宣伝する事業者は、明確なリスク警告を設置し、広告が明確かつ公正で誤解を招かないようにしなければならない。また企業は初心者の投資家に対し、投資決定を検討する時間を与えるため、明確なリスク警告と24時間のクーリングオフ期間を導入する必要がある。

これを遵守しなければ刑事告訴される可能性もあるとFCAは警告している。これを破った場合、2000年金融サービス市場法(FSMA)第21条に違反することになり、最高2年の禁固刑、無制限の罰金、またはその両方で処罰されるとのことだ。

FCAは9月、暗号資産マーケティングの規制に先立ち、暗号資産企業の準備状況に関するレポートを公開。

同レポートでは同制度に対する良い企業例と悪い企業例を紹介していた。

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参考:FCA
images:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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