SECゲンスラー委員長、暗号資産コンプライアンスの強化を主張

公聴会に臨むゲンスラー委員長

米証券取引委員会(SEC)のゲイリー・ゲンスラー(Gary Gensler)委員長は、暗号資産(仮想通貨)を株式のような他の証券と同じ法律に従うべきだと考えているようだ。9月12日に公開された同氏の証言の中で明らかとなった。

なおゲンスラー委員長は、9月12日の上院金融・住宅・都市問題委員会の公聴会に出席予定であり、今回の主張を堅持する姿勢のようだ。

ゲンスラー委員長は証言の中で「この業界が広範囲にわたって証券取引法を遵守していないことを考えれば、このような市場で多くの問題が起きていることは驚くべきことではない。こういった話は以前にも見られた。連邦証券法が施行される前の1920年代を彷彿とさせる」と述べ、「そのため、私たちは多くの強制執行措置をとってきた。和解したものもあれば、訴訟中のものもあるが、それは不正行為者の責任を追及し、投資家保護を促進するためである」と続けた。

またゲンスラー委員長は、SECが規則制定を通じて「暗号資産証券市場(crypto security markets)」にも取り組んできたと主張。

「DeFi」システムを含む暗号資産取引プラッ トフォームに対する既存規則の適用範囲を再確認するリリースをSECは提出しており、その中には「新たに提案された取引所の定義に含まれるシステム」に関する補足情報を付け加えたとゲンスラー委員長は述べている。

またゲンスラー委員長は、カストディ・ルールについても言及。

現在、投資アドバイザーによるカストディ・ルールはすでに暗号資産ファンドや暗号資産に適用されている。しかし、これを改訂するSECの提案では、全ての暗号資産が対象となり、認定カストディアンが提供する顧客保護が強化される内容となっている。

昨年は約750件の強制提訴

ゲンスラー委員長の証言によればSECは昨年1年間で、約750件の強制訴訟を提起し、約3,000件の審査を実施し、登録を行ったという。

またゲンスラー委員長は、登録者の大幅な増加、個人投資家による市場関与の増加、そして複雑化に直面し、SECの職員数は2016年から昨年にかけて減少したことを明かしている。しかし本年度のSECの人員は、2016年度と比較して約3%増加する見込みだと報告している。

規制強化進めるSEC

昨年11月のFTX破綻以降、SECは規制強化を推進している。

SECは6月5日、海外大手暗号資産取引所のバイナンス(Binance)と同社CEOのCZ氏およびバイナンスUSを提訴。その翌日には米大手暗号資産取引所のコインベース(Coinbase)を提訴し、現在複数の暗号資産関連企業と法廷争いを繰り広げている。

また暗号資産XRPをめぐり、SECが米リップル(Ripple)社と長年争っていた「リップル裁判」は7月、判決が下されている。

SECは8月、リップル裁判の「暗号資産取引所を通じて販売されたXRPは証券にあたらないことを決定づける」判決を不服として、中間控訴の申立てを行っている。

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参考:ゲンスラー委員長の証言
images:Reuters

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この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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