モンテネグロ裁判所がド・クオンらの保釈を破棄

「逃亡の危険を否定できない」と保釈破棄

モンテネグロの最高裁判所は5月24日、米国で数十億ドル規模の詐欺罪で提訴された暗号資産(仮想通貨)企業テラフォームラボ(Terraform Labs)の創業者ド・クオン(DoKwon)氏と、同氏の側近とされるホン・チャンジュン(Hon Chang Joon)氏に認められていた、2人合わせて80万ユーロ(約1.1億円)の保釈を、裁判を待たずして取りやめた。

韓国籍のクオン氏は、「テラ:Terra(LUNA:ルナ)」と「テラUSD:TerraUSD(UST)」を運営するテラフォームラボの元CEOである。

法定通貨の価格に連動する「ステーブルコイン」としてかつては世界の暗号資産上位10位内に入っていたテラUSDは、昨年5月に破綻した。

クオン氏とチャンジュン氏は3月、モンテネグロの首都ポドゴリツァの空港にてドバイ行きの飛行機に乗ろうとしたところ、フライトのパスポート審査で偽造パスポートを使用したとして、文書偽造の犯罪容疑がかけられ拘束された。ポドゴリツァの裁判所は2人に30日間の公判前勾留を命じた。

なお2人は現在も勾留中だ。

裁判所の広報担当者が現地メディアに語った内容によれば、高等裁判所は「80万ユーロの保釈金を確実の保証とは受け取れず、2人が逃亡しないこと」を確約するものにはならないとの判断で検察官と同意したのことだ。

検察側は、被告人らが保釈されれば、被告人らは引き渡しを待つ間、モンテネグロに滞在することに興味はないだろうと主張した。

クオン氏の逮捕後、マンハッタンの連邦地方裁判所は、証券詐欺、電信詐欺、商品詐欺、陰謀の罪で8件の起訴状を公開した。

被告人らは5月初旬の公聴会で、モンテネグロの検察官が告発した容疑についていかなる不正行為も否定。数百万ドルの財産があり、保釈金は被告の妻が支払うと裁判所に述べている。

警察は、2人の逮捕後、2人の荷物からコスタリカのパスポート、ベルギーのパスポート、ノートパソコンなどを発見したと発表していた。

韓国及び米国の当局は、クオン氏とチャンジュン氏の身柄とコンピュータの引き渡しを要請している。

関連ニュース

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
Montenegro court scraps bail for crypto entrepreneur Do Kwon SARAJEVO
Reporting by Daria Sito-Sucic; Editing by Alexandra Hudson

翻訳:髙橋知里(あたらしい経済)
images:Reuters

この記事の著者・インタビューイ

髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者

合わせて読みたい記事

【9/11話題】UPBONDと鹿島建設らが「JPYC」活用の実証実験、博報堂キースリーとスターテイルがSoneium導入企業の支援など(音声ニュース)

UPBONDと鹿島建設ら、「JPYC」活用で建設現場の処遇改善と運営の効率化へ、博報堂キースリーとスターテイル、「Soneium」上でのサービス構想・開発実装の企業支援を開始、暗号資産詐欺の被害額、23年に45%急増=FBI、シンガポール、ワールドコインのアカウントとトークンの売買サービス提供者を捜査。先月は逮捕者も、バイナンスジャパンにネオ(NEO)上場、国内2例目、英金融監視機関、暗号資産ATMの違法運営で男を提訴、PayPalとVenmo、イーサリアムネームサービス(ENS)導入、State StreetとGalaxy Digital、デジタル資産ETF3銘柄立ち上げ、スタンダードチャータード、UAEでデジタル資産カストディサービス開始、テザー社、トロン、TRMラボの3社が協力。USDT不正利用と戦う金融犯罪ユニット設立、ビットコインスケーリング「Fractal Bitcoin」がメインネット公開、FBトークン配布も、バイナンスでトークンロック解除・権利確定スケジュール機能導入、CoinMarketCap提供=報道

Sponsored

テザー社、トロン、TRMラボの3社が協力。USDT不正利用と戦う金融犯罪ユニット設立

USDTなどのステーブルコイン発行企業テザー(Tether)社とジャスティン・サン(Justin Sun)氏が設立したパブリックブロックチェーンのトロン(TRON)、暗号資産取引に関するセキュリティツールを提供するTRMラボ(TRM Labs)の3社が提携し、暗号資産(仮想通貨)犯罪に対抗する民間金融犯罪ユニット「T3 Financial Crime Unit (T3 FCU)」を設立した

博報堂キースリーとスターテイル、「Soneium」上でのサービス構想・開発実装の企業支援を開始

博報堂キースリーとスターテイルラボ(Startale Labs)が共同で、ソニーブロックソリューションラボ(Sony Block Solutions Labs)開発のブロックチェーン「ソニューム(Soneium)」を活用した企業のサービス構想企画、開発実装のサポートサービスの提供開始を9月11日発表した