ユーロポールらが暗号資産ミキサー「ChipMixer」を解体、ビットコイン62億円相当押収

ビットコイン62億円相当を押収

欧州刑事警察機構(Europol/ユーロポール)が、米司法省とドイツ連邦刑事警察(Bundeskriminalamt)と協力し、暗号資産(仮想通貨)ミキシングプラットフォーム「チップミキサー(ChipMixer)」を解体。米司法省は運営関与者を起訴した。ユーロポールと米司法省が3月15日発表した。

この捜査は、ユーロポールとベルギー、ポーランド、スイスの当局の協力により行われたとのこと。「チップミキサー」がマネーロンダリングに関与したとして、同プラットフォームを停止し、ビットコイン(BTC)1909.4BTC(約62億円相当)と7TBのデータ、4台のサーバーを押収したという。

なおミキシングとは、暗号資産の取引データを複数混ぜ合わせて資金経路を見えなくすることで、ユーザーの匿名性を高める技術のことだ。

調査によると、「チップミキサー」で152000BTC(約4951億円相当)がマネーロンダリングされた可能性があるという。その大部分が、ダークウェブ市場・ランサムウェア攻撃・違法商品の売買・児童性的搾取材料の調達・暗号資産の盗難に関連していたと説明されている。

またユーロポールは、「2022年の大規模暗号取引所の倒産後に盗まれた暗号資産の一部が、チップミキサーを介して洗浄された可能性を調査している」と述べている。なおこの倒産した取引所は、FTXを指すと思われる。FTXは1月、約4億1500万ドルの暗号資産がハッキングにより盗まれたと発表していた。

米司法省の報告

米司法省は、「チップミキサー」の運営に関与したベトナム人オペレーターのミン・コック・グエン(Minh Quốc Nguyễn)氏をマネーロンダリング・無認可送金業の運営・個人情報の盗難の罪などの疑いで起訴した。有罪判決を受けた場合、最高刑は懲役40年になるとのことだ。なおこの捜査・起訴は、FBIやHSIサイバー犯罪センター、ユーロポール、ポーランドサイバー警察(Centralnego Biura Zwalczania Cyberprzestępczości)、チューリヒ州警察(Kantonspolizei Zürich)らと協力し行われた。

法定書類によると、2017年より無許可で暗号資産のミキシングサービスを提供していた「チップミキサー」は、犯罪に由来する資金を洗浄するために最も広く使用されているミキサーの1つだという。

同サービスにユーザーが入金した暗号資産は「チップ」と呼ばれる同等の価値を持つトークンに変更され、それらがユーザー間で混合されるという。これにより送金元の保有者を特定できなくしたり、資金の流れをたどれないようにすることで、ユーザーへプライバシーと匿名性を提供していた。ただしこのサービスは、ハッキングや詐欺によるマネーロンダリングの温床となっていたとされている。なおユーロポールは、「チップミキサー」について、「ダークウェブで最大の暗号資産コインランドリーの1つ」と表現している。

なお米司法省は発表の中で、「チップミキサー」が行ったマネーロンダリングの具体例にも言及。ブロックチェーンゲームのアクシーインフィニティ(Axie Infinity)のサイドチェーンであるローニンネットワーク(Ronin Network)で発生したハッキング被害や、北朝鮮に関連するハッカー集団「ラザルス(Lazarus)」が関与したとされる「Horizon Bridge(ホライゾンブリッジ)」の資金流出事件などで盗まれたビットコインが、それに含まれると指摘している。

暗号資産のミキシングサービスについては、サイバー犯罪関与のマネーロンダリングに利用されていることが問題視されてきた。

昨年8月にはイーサリアムベースのミキシングプラットフォーム「トルネード・キャッシュ(Tornado Cash)」が、米国政府より制裁措置を受けている。また同月には、サービス開発者のアレクセイ・ペルツェフ(Alexey Pertsev)氏がオランダ警察に逮捕されていた。

※文中のビットコインの価格換算は、2023年3月16日11:30現在の価格(コインマーケットキャップ調べ)。

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参考:Europol米司法省
デザイン:一本寿和

images:iStock/jirawut-seepukdee

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髙橋知里

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
同社コンテンツビジネス局では書籍PRや企業向けコンテンツの企画立案に従事。「あたらしい経済」編集部では記事執筆を担当。

「あたらしい経済」編集部 記者・編集者
同志社大学神学部を卒業後、放送局勤務を経て、2019年幻冬舎へ入社。
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