FTXが米国司法省の調査に異議。債権者は日本および米国規制当局なども

FTXが米国司法省の調査に異議

FTXは、米国司法省が暗号資産(仮想通貨)取引所の破綻について独立した調査を要求していることに異議を唱えている。

FTXによると米国司法省は、FTX創業者で前CEOのサム・バンクマンフリード(Samuel Bankman-Fried:SBF)氏の家族を含む広範囲な調査をすでに実施しているという。

そしてFTXはデラウェア州ウィルミントンの裁判所申請書で、司法省の審査提案は同社の破産事件にコストと遅延を加えるだけだと1月25日に伝えた。

FTXは、過去の行為について「詐欺、不正、無能力、不正行為、不適性な管理、不規則性」を認めている。そして、これまでの不正行為については、すでにFTXの新しい経営陣、債権者、法執行機関によって調査されているという。

FTXは自らの調査の一環として、連邦破産法第11条の手続きを監督しているジョン・ドーシー(John Dorsey)連邦破産裁判官に、不正に流用され盗まれた資金を使ったFTXの取引に関する情報を持つSBF、その家族、その他の内部関係者から文書を確保するよう協力を求めているという。

これらの取引には、SBFの両親であるジョセフ・バンクマン(Joseph Bankman)氏とバーバラ・フリード(Barbara Fried)氏の名義による1670万ドルのバハマでの不動産購入が含まれるという。

またFTXは、SBFに関連する政治献金についても情報を求めており、バーバラ・フリード氏が設立した政治活動委員会「マインド・ザ・ギャップ(Mind the Gap)」や、SBFとその弟ガブリエル・バンクマン・フリード(Gabriel Bankman-Fried)が設立した提言団体「ガーディング・アゲインスト・パンデミック(Garding Against Pandemics)」について幅広く質問している。

FTXは「ガーディング・アゲインスト・パンデミック」の数百万ドルのワシントンDCの本部が、不正に流用された資金で購入されたと伝えている。 SBFとその家族からは、すぐにコメントを得ることができなかった。

「マインド・ザ・ギャップ」の広報担当者は「SBFがその寄付者ネットワークに推薦したいくつかの政治団体に寄付をしていたものの、SBFから直接寄付を受けたことはなかった」と説明している。

かつて世界トップクラスの暗号資産取引所であったFTXは、昨年11月に破産申請し、推定100万人の顧客とその他の投資家が数十億ドルの総損失に直面し、この業界を震撼させた。 米国司法省の破産監視委員会は、FTX破綻について独立した調査を行うよう要請し、米国の超党派の上院議員グループから支持を得ている。

FTX社の新CEOであるジョン・レイ(John Ray)氏は、エンロン(Enron)やレジデンシャル・キャピタル(Residential Capital)の清算業務を通して、国選調査官と一緒に仕事をしていたという。

FTXは「エンロンとレジデンシャル・キャピタルの調査官の費用は合わせて1億5千万ドルで、債権者には最小限だが利益をもたらしたと証言する準備ができている」と伝えている。 FTXの公式債権者委員会は、会社とともに審査官の任命に反対した。

FTXの債権者リスト

またFTXは米国、日本、スイスの金融監視機関や政府機関、エアビーアンドビー(Airbnb)や暗号資産大手のバイナンスなどの企業を含む新しい債権者リストを破産裁判所へ1月25日に提出した。

エアビーアンドビーとバイナンスは、コメントの要請にすぐには応じなかった。 また米国財務省金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)や米国内国歳入庁(IRS)などが新たな債権者リストに含まれている。

なお債権の内容や金額などの詳細は明らかになっていない。 FTXは「この債権リストは破産における潜在的な利害関係者に可能な限り幅広く働きかけるためのものであり、必ずしも債権者リストの各企業や個人からお金を借りているわけではない」と1月26日に伝えている。

なおこの債権者リストには、日本の金融庁、環境省、アンダーソン・毛利・友常法律事務所、クリプトガレージ(Crypto Garage)、フィンターテック(Fintertech)、ジャフコグループの投資事業組合(ファンド)「JAFCO SV4」や日本取引所グループ(JPX)の大阪取引所なども含まれていることが確認できた。

FTXは昨年、最大手の債権者50社から約31億ドルの債務を負っていると発表した。

今月ドーシー連邦破産裁判官はFTXが900万人の個人顧客の名前を3カ月間秘密にしておくことを許可した。

FTXの創設者であるSBF氏は、暗号資産に特化したヘッジファンドで発生した債務の支払いのためにFTXの顧客から数十億ドルを盗んだとして告発されているが、詐欺罪について無罪を主張している。SBF氏は今年10月に裁判を受ける予定だ。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
(Reporting by Noele Illien in Zurich, Tom Wilson in London and Dietrich Knauth in New York; Editing by Kirsten Donovan, Alexia Garamfalvi and Matthew Lewis)
images:Reuters

関連するキーワード

この記事の著者・インタビューイ

竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

合わせて読みたい記事

【7/18話題】ステートストリートが独自ステーブルコイン検討、ビットトレードの全取引ペアの売買手数料が無料化など(音声ニュース)

ステートストリート、独自ステーブルコインの発行検討か=報道、香港規制当局ら、ステーブルコイン発行体のライセンス取得義務についての協議結果を報告、早期立法化へ、ビットトレード、全取引ペアの売買手数料を無料化へ、BTC担保の米ドルステーブルコイン「USDh」、BTCトークン規格「Runes」でローンチ、Polygon LabsがZK証明システム「Plonky3」公開、オープンソースに、マウントゴックスが債権者への弁済を報告、クラーケンへ48,641BTC送金も、ドイツ当局、ビットコイン売却で28.8億ドルの収益、スタンダードチャータード銀行支援のZodia Markets、Elwoodの暗号資産OTC事業を買収、テレグラムの「TON」、ビットコイン間のトークンブリッジサービス「トンテレポートBTC」発表