ジャスティンサン、DCGに10億ドル投じる意向あると発言

ジャスティンサン、DCGへの投資意向示す

中国の暗号資産(仮想通貨)関連の起業家であるジャスティン・サン(Justin Sun)氏が、経営難に陥った暗号資産レンディング企業ジェネシス(Genesis)の親会社デジタルカレンシーグループ(Digital Currency Group:DCG)の資産購入に、自己資金10億ドルを投じる意思があるとロイター通信に語った。

ジェネシスは昨年11月に顧客資産の引き出しを凍結し、破産申請を避けようとしていると伝えられていた。この問題に詳しい人物によると、ジェネシスは債権者に対して30億ドル以上の負債を抱えているという。

ジェネシスの所有者であるDCGは、グレースケール(Grayscale)を含むいくつかの有名企業の親会社でもあり、同社のウェブサイトにはベンチャーキャピタルポートフォリオの160社以上が掲載されている。

なおDCGは資金調達のためにポートフォリオの一部を売却することを検討していると、メディア「Financial Times(フィナンシャルタイムズ)」が1月12日に報じている。

サン氏はロイターのインタビューで「DCGの資産の一部を購入するために最大10億ドルを費やすこともいとわない。彼らの評価次第だけど」と語っている。ただサン氏は、どの資産の購入を検討しているかは明らかにしなかった。

サン氏の広報担当者は、同氏財産の詳細について明らかにしなかったが、暗号資産と法定通貨などで構成されていると伝えている。

なおDCGは、この件に関してコメントを控えた。

サン氏はトロン・ブロックチェーン(TRON Blockchain)の創設者だ。また先週、スタッフの約20%を解雇する計画を発表した暗号資産取引所フォビ(Huobi)のアドバイザーでもある。

なお暗号資産関連の著名プレイヤーらは、過去にも他の企業やその資産の買収に関心を示したことがあるが、それらの企業の財務の健全性に関して市場の懸念があった場合は、それらの取引は必ずしも実現していない。

大手暗号資産取引所FTXが昨年11月に投資家の撤退ラッシュに直面した際、バイナンス(Binance)はFTXの非米国部門を購入する拘束力のない契約を締結した。しかしバイナンスはデューデリジェンスを行った後、わずか1日で計画を取り下げた。

FTXが緊急の資金援助を求める中、サン氏は数十億ドルの援助をする用意があると述べていたとブルームバーグは報じている。なおその取引も実現しなかった。

※この記事は「あたらしい経済」がロイターからライセンスを受けて編集加筆したものです。
(Reporting by Elizabeth Howcroft; Editing by Tomasz Janowski)
翻訳:竹田匡宏(あたらしい経済)

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竹田匡宏

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

兵庫県西宮市出身、早稲田大学人間科学部卒業。
「あたらしい経済」の編集者・記者。

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